海外ジャーナルクラブ
2年前
Zhengらは、 重症化リスクが高いCOVID-19患者に用いる中和モノクローナル抗体ソトロビマブと抗ウイルス薬モルヌピラビルの重症化予防効果を観察型コホート研究で検討。 その結果、 ソトロビマブの投与を受けた者は、 モルヌピラビルの投与を受けた者よりもCOVID-19の重症化リスクが低いことが示された。 本研究は、 BMJ誌において発表された。
BA.1,2→BA.5と、 ウイルス自体がどんどんと変異している中で後ろ向きの研究の価値をどこに見出すのか、 非常に難しいです。 しかしながら本研究のようなreal world dataから”effectiveness”の比較をするような研究結果はより実装社会を反映しており、 今後変化の速いような疾患に対してはより好んで用いられると思います。
2021年12月16日からソトロビマブまたはモルヌピラビルによる治療を受けた、 重症化リスクの高いCOVID-19の成人患者。
ソトロビマブまたはモルヌピラビルを投与。
治療開始後28日以内のCOVID-19による入院または死亡。
治療開始後28日以内に、 1.4% (87人) の患者がCOVID-19による感染で入院または死亡した。
地域で層別したCox比例ハザードモデルでは、 人口統計情報、 高リスクコホートカテゴリ、 ワクチン接種状況、 肥満度、 その他の併存疾患を調整後、 ソトロビマブがモルヌピラビルに比べ、 重症化リスクが大幅に低いことが明らかとなった (P=0.01)。
傾向スコアで重み付けしたCoxモデル (HR 0.50、 95%CI 0.31-0.81、 P=0.005) および完全接種者に限定した場合 (HR 0.53、 95%CI 0.31-0.90、 P=0.02) でも一貫した結果が示された。
他の特性による実質的な効果の修正は検出されなかった (交互作用のすべてのP>0.10)。 イングランドでオミクロンBA.2が優勢であった2022年2月16日から5月1日の間に治療を受けた患者の探索的解析でも同様の結果であった。
COVID-19による重症化リスクが高い場合、 ソトロビマブの投与を受けた者は、 モルヌピラビルの投与を受けた者よりもそのリスクが低いことが示された。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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