未治療で転移性の淡明細胞型腎細胞癌患者において、 初回治療としてのマルチキナーゼ阻害薬パゾパニブとスニチニブの有効性と安全性を比較した第Ⅲ相試験COMPARZの結果より、 スニチニブに対するパゾパニブの無増悪生存期間 (PFS) の非劣性が示された。
原著論文
▼解析結果
Pazopanib versus sunitinib in metastatic renal-cell carcinoma. N Engl J Med. 2013 Aug 22;369(8):722-31. PMID: 23964934
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COMPARZ試験の概要
対象
未治療の転移性の淡明細胞型腎細胞癌患者
方法
1,110例を以下の2群に1:1で割り付けた。
パゾパニブ800㎎を1日1回連日投与
スニチニブ50㎎を1日1回4週間経口投与後、 2週休薬
評価項目
- 主要評価項目:PFS
- 副次評価項目:全奏効率 (ORR)、 全生存期間 (OS)、 安全性、 健康関連Quality of Life (HRQOL)、 医療資源利用
COMPARZ試験の結果
患者背景
両群間で同様であった。
PFS中央値
(95%CI 8.3-10.9ヵ月)
(95%CI 8.3-11.1ヵ月)
HR 1.05 (95%CI 0.90-1.22)
ORR
(95%CI 26.9-34.5%)
(95%CI 21.1-28.4%)
OS中央値
(95%CI 26.2-35.6ヵ月)
(95%CI 25.3-32.5ヵ月)
HR 0.91 (95%CI 0.76-1.08)
安全性
- 治療期間中央値は両群で同等であった (パゾパニブ群8.0ヵ月、スニチニブ群7.6ヵ月) 。
- パゾパニブ群とスニチニブ群で、 7日以上の投与中断 (それぞれ44%と49%) または減量 (それぞれ44%と51%) を行った患者の割合は同程度であった。
- 有害事象のために試験薬を中止した患者の割合は、 パゾパニブ群で24%、 スニチニブ群で20%であった。
- スニチニブ群でパゾパニブ群よりも、 白血球減少、 血小板減少、 好中球減少、 貧血等の血液学的検査値異常のリスクが高かった。
- パゾパニブ群でスニチニブ群よりも、 アラニンアミノトランスフェラーゼ (ALT) 、 ビリルビン、 アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ (AST) が上昇するリスクが高かった。
- 薬剤関連の致死的有害事象はパゾパニブ群3例 (1%) 、 スニチニブ群8例 (1%) にみられた。
HRQOL
主要評価項目のいずれにおいても、 パゾパニブ群がスニチニブ群より良好であった。
医療資源利用
スニチニブ群と比較し、 パゾパニブ群では、 月間の電話相談 (p=0.04) および救急部受診 (p=0.003) が少なかった。
著者らの結論
- 未治療の転移性の淡明細胞型腎細胞癌患者において、 スニチニブ投与に対するパゾパニブ投与のPFSの非劣性が示された。
- 両群のOSは同程度であり、 ORRはスニチニブ群よりパゾパニブ群の方が高いことから、 総合的有効性における非劣性も示された。