HOKUTO編集部
1年前
解説:赤松弘朗先生¹⁾ / 監修:津谷康大先生²⁾
N2を有する非小細胞肺癌における重要な意思決定は 「切除可能」 か 「不能」 かを決定することである。 切除可能例に対しては「術前化学療法→切除」もしくは「切除→術後補助化学療法」いずれの選択肢もエビデンスがあり、 近年免疫チェックポイント阻害剤が使用可能となっている。
切除不能例に対して導入治療によるdown-stagingを行った後の切除は有効性が確立しておらず、 通常このような症例には化学放射線治療が標準治療となる。
切除可能・不能の明確な基準はないが、 切除不能の根拠としてよく用いられるものとして、 bulky N2やmulti-station N2が挙げられる。 ただし絶対的な基準ではないので、 症例毎に内科・外科・放射線科での検討が必要である。
当院では1 (single station)、 まれに2を切除対象としている事が多い。
N2症例の切除可能・不能の判断基準については明確な定義がなく、 内科・外科・放射線科による議論が必要である。 本邦でもCheckMate 816試験の結果から切除可能臨床病期ⅠB (4cm以上) ~ⅢA期 (TNM分類第7版) 非小細胞肺癌に対する術前療法としてプラチナ併用化学療法+ニボルマブ療法が使用可能となった。 本試験においてもN2症例における切除可能の定義は明確ではなく、 施設の判断に委ねられていた。
外科医の視点からは、 切除可能である条件としては、 手術先行を行なっても技術的に完全切除可能と判断される必要があると考える。 すなわち、 bulky N2で節外浸潤を伴うものは通常切除不能であるし、 術前療法が奏効したら切除可能となり得るものは切除可能とは判断されない。 一方、 multi-station N2であってもnon-bulkyであれば場合によっては技術的に切除可能なものも存在する。 N2の組織学的確定の有無も切除可能・不能の判断においては重要である。
よって1, 2, 3の全てが切除可能にもなり得るが、 症例毎に検討されるべきと考える。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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