【Allergy】デュピルマブで2型炎症を有する小児喘息の増悪を抑制
著者

海外ジャーナルクラブ

1年前

【Allergy】デュピルマブで2型炎症を有する小児喘息の増悪を抑制

【Allergy】デュピルマブで2型炎症を有する小児喘息の増悪を抑制
Papadopoulosらは、 VOYAGE試験の事後解析において、 2型炎症を有する喘息患児を対象に、 ヒト型抗ヒトIL-4/13受容体モノクローナル抗体デュピルマブの有効性を検討。 その結果、 デュピルマブはアレルギー性喘息の有無にかかわらず2型炎症を有する喘息患児の喘息増悪を抑制し、 アレルギー性喘息の所見がある患者においては喘息制御の有意な改善が確認された。 本研究はAllergy誌において発表された。

📘原著論文

Assessment of dupilumab in children with moderate-to-severe type 2 asthma with or without evidence of allergic asthma. Allergy. 2023 Apr 14. doi: 10.1111/all.15743. PMID: 37059696

👨‍⚕️監修医師のコメント

今回の研究成果を見てもプラセボでスコアの改善が見られます。 これが極めて重要なところで、 さまざまな民間療法で喘息の改善が見られたと言っているものがありますが、 このプラセボと同じ現象を捉えているのだと思います。 確かに症状は改善しているのだと思いますが、 やはり比較検討することが重要です。

🔢関連コンテンツ

気管支喘息の発作分類

小発作、中発作、大発作、重篤

wheezesのJónsson分類

喘鳴の強度分類

デュピルマブ関連コンテンツ


背景

IL-4/5/13などのサイトカインは、 アレルギー性喘息を含む複数の2型炎症性疾患において重要な役割を果たしている。 デュピルマブはヒトモノクローナル抗体で、 IL-4/IL-13の共有受容体成分を遮断し、 シグナル伝達を阻害する。

研究デザイン

対象

2型炎症を有する6~11歳の喘息患児

  • アレルギー性喘息の所見あり:261例
  • アレルギー性喘息の所見なし:89例

介入

患者を以下の群に割り付け。

  • デュピルマブ投与群
  • プラセボ投与群

主要評価項目

AER、 気管支拡張薬使用前 (Pre-BD) の強制呼気1秒量 (FEV₁)、 予測FEV1に対するPre-BD FEV1の比率 (ppFEV₁)、 Asthma Control Score (ACQ) -7の変化

研究結果

AER

デュピルマブは、 アレルギー性喘息の初見がある患者および、 所見がない患者においてAERを有意に減少させた。

アレルギー性喘息の所見がある患者のAER

  • デュピルマブ投与群:0.24
  • プラセボ投与群:0.62
  • 相対リスク減少 (RRR) :62%(95%CI 39-76、 P<0.0001)

アレルギー性喘息の所見がない患者のAER

  • デュピルマブ投与群:0.39
  • プラセボ投与群:0.80
  • RRR:51% (95%CI 0-76、 P<0.05)

肺機能の改善

アレルギー性喘息の所見がある患者

  • アレルギー性喘息の所見がある患者では、 治療期間を通じてppFEV₁、 Pre-BD FEV₁、 およびACQ-7スコアの有意な改善がデュピルマブ投与群において観察された。

アレルギー性喘息の所見がない患者

  • アレルギー性喘息の所見がない患者では、 52週目までにPre-BD FEV₁および喘息制御の数値的改善が認められた。

結論

デュピルマブ投与により、 アレルギー性喘息の有無に関わらず、 2型炎症を有する喘息患児の喘息増悪が抑制された。 肺機能の変化においても同様の傾向が観察された。 喘息制御の有意な改善は、 アレルギー性喘息の所見を認める患者で観察されたが、 認めない患者では観察されなかった。

こちらの記事の監修医師
こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

監修・協力医一覧
QRコードから
アプリを
ダウンロード!
HOKUTOのロゴ
HOKUTOのロゴ
今すぐ無料ダウンロード!
様々な分野の医師
様々な分野の医師
【Allergy】デュピルマブで2型炎症を有する小児喘息の増悪を抑制