【医療用麻薬】よく分かる!軽度~中等度の強さの痛みに使用するオピオイドの特徴
著者

HOKUTO編集部

4ヶ月前

【医療用麻薬】よく分かる!軽度~中等度の強さの痛みに使用するオピオイドの特徴

【医療用麻薬】よく分かる!軽度~中等度の強さの痛みに使用するオピオイドの特徴
本項では、 軽度~中等度の強さの痛みに用いられるオピオイド鎮痛薬の特徴について、 厚生労働省の 「医療用麻薬適正使用ガイダンス」¹⁾や添付文書などを基に、 HOKUTO編集部協力薬剤師のコメントとともに概説する。
出典 : 厚生労働省 : 医療用麻薬適正使用ガイダンス (令和6年)
【医療用麻薬】よく分かる!軽度~中等度の強さの痛みに使用するオピオイドの特徴

>> 中等度~高度の痛みに使用する医療用麻薬

>> メサドン

コデイン

【医療用麻薬】よく分かる!軽度~中等度の強さの痛みに使用するオピオイドの特徴

特徴

原末、 散剤、 錠剤がある。1%散と5mg錠は麻薬規制の対象外である。

経口コデイン製剤の鎮痛効果は、 経口モルヒネ製剤の1/10の程度と考えられている*。

*肝臓で代謝され、 一部がCYP2D6によりモルヒネに変換され鎮痛効果を発揮するため。

投与方法

開始量 : 1回10~20mgを4~6時間ごと

1回40mg以上の投与が必要な場合は、 内服の負担や副作用を考慮し、 中等度~高度の痛みに用いられるオピオイド鎮痛薬への変更を検討する。

注意点

小児への投与は禁忌

12歳未満の小児に対しては呼吸抑制のリスクが高く、 禁忌である。

トラマドール

【医療用麻薬】よく分かる!軽度~中等度の強さの痛みに使用するオピオイドの特徴

特徴

麻薬として規制されていないオピオイド鎮痛薬であり、 麻薬処方箋が不要である。

ノルアドレナリンおよびセロトニンの再取り込み阻害作用を併せもつため、 神経障害性疼痛に対する鎮痛効果も期待できる。

経口剤 (速放製剤、 徐放製剤) と注射剤に、 がん疼痛の保険適応がある*。

*トラマドールとアセトアミノフェンの配合剤 (トラムセット®️) は、 がん疼痛の保険適応がない。

経口剤の投与方法

定時投与薬

開始量 : 1日100mg

高齢者や進行末期癌患者などでは、 より少ない用量 (例;1日50mg) で、 1日2回の分割投与が行われる場合がある。

維持量 : 鎮痛効果が得られた量で、 1日50mg~400mg。 1日最大投与量は400mg

維持量として1日300mg以上を必要とする場合は、 中等度~高度の強さの痛みに用いられるオピオイド鎮痛薬への切替えを検討する。

投与間隔 : 速放製剤は4~6時間ごと、 徐放製剤は12時間または24時間ごと

徐放製剤は1日1回投与型と1日2回投与型がある。

レスキュー薬

1日量の1/8~1/4を経口投与

定時投与薬とレスキュー薬の合計が、 1日400mgを超えないように注意する。

注射剤の投与方法

開始量 : 1回100~150mg

投与間隔 : 4~5時間ごと

💡注射剤は筋注のみが承認されており、 持続静注・皮下注による投与方法は確立していない。

注意点

小児への投与は禁忌

12歳未満の小児に対しては呼吸抑制のリスクが高く、 禁忌である。

腎機能障害も禁忌

高度腎機能障害時 (CCr<30mL/min) は高い血中濃度が持続するおそれがあることから、 ワントラム®とツートラム®は禁忌である。 このような場合は、 トラマール®を少量から開始し漸増するとよい。

併用薬

セロトニン作動薬*¹等との併用は、 セロトニン症候群*²を生じる可能性があることに注意する。

*¹三環系抗うつ薬、 選択的セロトニン再取り込み阻害薬 (SSRI)、 セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬 (SNRI)
*²不穏、 振戦・固縮、 自律神経症状など

服用方法

徐放製剤は、 噛んだり、 割ったり、 砕いたり、 溶解して服用してはならない。


👨‍⚕️ 患者さんが医療用麻薬の使用に抵抗がある場合、 コデイン (市販薬に含まれている成分と説明できる) やトラマドールが導入しやすいです。 両剤ともCYP2D6で代謝されオピオイド作用を発揮するため、パロキセチンやデュロキセチンなどのCYP2D6阻害薬との併用で効果が減弱する可能性があります。 

<出典>

1) 医療用麻薬適正使用ガイダンス (令和6年)

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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