海外ジャーナルクラブ
2ヶ月前

Dupainらは、 原発不明癌 (cancer of unknown primary : CUP) の患者を対象に、 フランス国家レベルの専門的多職種腫瘍ボード (national multidisciplinary tumour board : MTB) による診断および治療介入が臨床転帰に与える影響を、 後ろ向き観察研究で検討した。 その結果、 MTBに基づく分子・病理統合的治療戦略が生存期間を有意に延長することが明らかとなった。 本研究はLancet Reg Health Eur誌において発表された。
全身状態が不良な患者では、 分子プロファイリングによる利益が乏しいと考えられるため主治医の判断によりMTBへ紹介されなかった可能性もあり、 予後良好な症例に偏っている可能性が指摘されています。
CUPでは分子標的治療が生存率を改善するが、 実臨床での有用性はいまだ不透明である。 フランスは2020年、 診断と治療に関する専門知識の集約を目的としてMTBを設立した。 本研究は、 この専門組織が実地診療における診断や治療に与えた影響を評価した。
本研究は、 2020年7月~2023年12月にフランスのCUP MTBで検討されたCUP患者を対象に、 前向きに収集された実臨床データを用いて行われた後ろ向き解析である。 診断への影響は 「推定される原発組織の特定」 と定義し、 治療への影響は 「MTBの推奨に基づく治療の開始」 と定義した。
246例が検討され、 187例 (76%) でMTB推奨に基づく病理・分子解析が実施された。 腫瘍プロファイリングにより、 187例中130例 (70%) で原発巣の推定が可能であり、 主な推定原発巣は、 消化管 (22%)、 肺 (17%)、 乳腺 (16%)、 腎 (15%) であった。
149例 (61%) がMTB推奨に基づく治療を受け、 そのうち111例 (74.5%) はMTB指向治療 (原発巣指向治療63.8%、 分子標的治療10.7%) だった。
MTB指向治療を受けた患者のOS中央値は18.6ヵ月であり、 経験的治療群の11.0か月と比較して有意に延長した (HR 0.61 [95%CI 0.38-0.98]、 p=0.04)。
著者らは、 「本研究は、 専門MTBにおいて臨床情報、 病理所見、 分子データを統合するアプローチが、 実臨床において実現可能であり、 CUP患者の生存期間を有意に改善し得ることを示した」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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