JCOG0802/WJOG4607L : 複雑区域切除はOS改善傾向も局所再発リスク増、 断端確保が鍵
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HOKUTO編集部

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JCOG0802/WJOG4607L : 複雑区域切除はOS改善傾向も局所再発リスク増、 断端確保が鍵

JCOG0802/WJOG4607L : 複雑区域切除はOS改善傾向も局所再発リスク増、 断端確保が鍵
末梢小型非小細胞肺癌 (NSCLC) 患者を対象に、 区域切除および肺葉切除の治療効果を比較評価した国内多施設共同第Ⅲ相非盲検無作為化非劣性試験JCOG0802/WJOG4607Lの最終解析データを用いて、 技術的難易度の高い複雑区域切除が、 単純区域切除と同様に肺葉切除と比べて治療効果を有するかを評価した事後補足解析の結果が報告された。 複雑区域切除は、 単純区域切除と同様に肺葉切除と比べて全生存期間 (OS) で改善傾向を示し、 呼吸機能温存にも寄与した一方で、 局所領域再発リスクは高かった。 広島大学病院呼吸器外科の上垣内篤氏が発表した。 

背景

P3でOSにおける区域切除の優越性が実証、 複雑区域切除では不明

JCOG0802/WJOG4607試験では、 末梢小型NSCLC患者を対象として、 OSで区域切除の肺葉切除に対する非劣性のみならず、 優越性も示された (HR 0.663 [95%CI 0.474-0.927]、 非劣性に関するp<0.0001、 優越性に関するp=0.0082)¹⁾。 一方で、 同試験の安全性解析では、 複雑区域切除が肺合併症リスクと関連することが示された。 また、 技術的難度の高いこの複雑区域切除が、 単純区域切除と同様に、 肺葉切除と比べて治療効果を有するかは依然として不明であった。

そこで同試験の最終解析データを用いた事後補足解析において、 複雑区域切除および単純区域切除の腫瘍学的転帰を肺葉切除と比較評価した。

試験の概要

同試験の事後補足解析で複雑/単純区域切除 vs 肺葉切除を評価

同試験の最終解析データを用いた事後補足解析では、 切離する区域間面が1平面である両側S6区域、 左上区域 (S1-3)、 舌区域 (S4+5) の切除を単純区域切除と定義し、 それ以外の2平面以上の区域間面を切離する区域切除を複雑区域切除と定義した。

腫瘍径2cm以下の末梢小型NSCLC患者1,106例が以下の2群に無作為に割り付けられた。

  • 肺葉切除群 : 554例
  • 区域切除群 : 552例

区域切除群のうち318例が複雑区域切除、 234例が単純区域切除であった。

主要評価項目はOS

主要評価項目はOS、 副次評価項目は呼吸機能、 無再発生存期間 (RFS)、 局所領域再発の累積発生率、 肺癌特異的死亡であった。

比較可能性を担保するため、 腫瘍部位で調整した解析を実施した。 両側S6、 左S1-3、 S4+5に腫瘍を有する患者では肺葉切除と単純区域切除を、 右S7-10、 S1-3、 左S8-10、 S1-3に腫瘍を有する患者では肺葉切除と複雑区域切除を比較した。

追跡期間中央値は10.5年であった。

試験の結果

部位調整後の10年OS率は改善傾向、 複雑区域切除83.6% vs 肺葉切除79.2%

全コホートにおける10年OS率は、 複雑区域切除群が83.5% (95%CI 78.8-87.3%)、 単純区域切除群が83.5% (95%CI 77.7-87.9%)、 肺葉切除群が79.8% (95%CI 76.1-83.0%) であった。

部位調整解析における10年OS率は、 複雑区域切除群が83.6% (95%CI 78.9-87.3%)、 肺葉切除群が79.2% (95%CI 74.7-82.9%) であり、 両群間で有意差は示されなかったものの、 複雑区域切除群で改善傾向が認められた (HR 0.839 [95%CI 0.608-1.158]、 p=0.2847)。

同様に、 単純区域切除群では82.9%(95%CI 76.9–87.4%)であり、 肺葉切除群の78.0%(95%CI 72.5–82.6%) と比べて改善傾向が認められた (HR 0.791 [95%CI 0.540-1.158]、 p=0.2272)。

1年時のFEV1.0減少率は複雑/単純区域切除で有意に低値

術後1年時の1秒量 (FEV1.0) 中央値の減少率は、 複雑区域切除群 (-7.9%) および単純区域切除群 (-9.0%) が肺葉切除群 (-12.0%) と比べて有意に低値であった (複雑区域切除群 vs 肺葉切除群 p<0.0001、 単純区域切除群 vs 肺葉切除群 p=0.0006)。

RFS・肺癌特異的死亡は群間差なし

RFSおよび肺癌特異的死亡は、 いずれも両群間で有意差が認められなかった。

局所領域再発の累積発生率は複雑/単純区域切除で高値

局所領域再発の累積発生率は、 複雑区域切除群および単純区域切除群が肺葉切除群と比べて高値を示した (それぞれHR 2.124 [95%CI 1.327-3.339]、 HR 1.817 [95%CI 1.071-3.083])。

複雑/単純区域切除で切除断端距離は短縮

外科的切除断端は、 複雑区域切除群 (中央値 2.2cm、 p<0.0001) および単純区域切除群 (同 2.5cm、 p<0.0001) が肺葉切除群 (同 4.0cm) と比べて短かった。

結論

複雑区域切除によりOSは改善傾向も、 断端距離確保に注意が必要

以上より、上垣内氏は 「末梢小型NSCLCにおいて、 複雑区域切除は単純区域切除と同様に、 肺葉切除と比べてOSで改善傾向を示し、 呼吸機能の温存にも寄与した。 一方で、 複雑区域切除は局所領域再発リスクが高いことから、 実施する際には十分な切除断端の確保に細心の注意を払う必要がある」 と報告した。

出典

1) Lancet. 2022 Apr 23;399(10335):1607-1617.

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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