【NEJM】希少疾患DPMの新たな治療可能性: STAT4遺伝子変異とJAK阻害薬
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海外ジャーナルクラブ

1年前

【NEJM】希少疾患DPMの新たな治療可能性: STAT4遺伝子変異とJAK阻害薬

【NEJM】希少疾患DPMの新たな治療可能性: STAT4遺伝子変異とJAK阻害薬
Baghdassarianらは、 強障害性の汎発性硬化性斑状強皮症 (DPM) の常染色体優性遺伝パターンを有する3家系4例の患者を対象に、 DPMの遺伝的原因を検討。 その結果、 シグナルトランスデューサー兼転写活性化因子4 (STAT4) をコードする遺伝子のヘテロ接合性機能獲得型ミスセンス変異がDPMを引き起こすことが明らかになり、  JAK阻害薬ルキソリチニブは、 in vitroおよび罹患家族において、 皮膚症状および炎症表現型を減弱させた。 本研究はNEJM誌において発表された。 

📘原著論文

Variant STAT4 and Response to Ruxolitinib in an Autoinflammatory Syndrome. N Engl J Med. 2023 Jun 15;388(24):2241-2252. PMID: 37256972

👨‍⚕️監修医師のコメント

In Vitroでの実験結果と実際の患者での治療効果を組み合わせて病態生理と治療効果を同時に提供する研究成果が増加しています。 NEJMで掲載されることで、 今後このような研究スタイルが一つの形になると思います。

🔢関連コンテンツ

全身性強皮症の診断基準・重症度分類

指定難病51

背景

DPMは、 創傷治癒不良、 線維化、 細胞減少、 低ガンマグロブリン血症、 および扁平上皮癌を特徴とするまれな全身性炎症性疾患である。 原因は不明であり、 死亡率は高い。

研究デザイン

対象

DPMの常染色体優性遺伝パターンを有する3家系4人の患者

方法

  • ゲノムの塩基配列決定により、 シグナルトランスデューサー兼転写活性化因子4 (STAT4) の特定領域に3つのヘテロ接合体変異が独立して同定された。
  • 遺伝子欠損の機能的性質を明らかにするために、 初代皮膚線維芽細胞および細胞株アッセイを用いた。
  • 末梢血単核球の単一細胞RNAシークエンシングを用いて遺伝子発現を測定し、 DPMで影響を受ける可能性のある炎症経路や、 治療に反応する可能性のある炎症経路を同定した。

研究結果

新たなに特定された遺伝子変異

ゲノム配列決定により、 STAT4をコードする遺伝子の新規ヘテロ接合性機能獲得型ミスセンス変異が3個新たに明らかになった。

in vitroにおける影響

in vitroでは、 初代皮膚線維芽細胞はIL-6の分泌亢進を示し、 創傷治癒、 コラーゲンマトリックスの収縮、 マトリックスの分泌が障害された。

ルキソリチニブの効果

  • JAK-STATシグナルをルキソリチニブで阻害すると、 in vitroでは炎症亢進性線維芽細胞の表現型が改善し、 治療患者では副作用なしに炎症マーカーと臨床症状が消失した。
  • 単細胞RNA配列決定により、 免疫調節異常の表現型と一致する発現パターンが明らかになり、 それらはJAK阻害により適切に修正された。

結論

STAT4の機能獲得型変異がDPMを引き起こすことが明らかになり、 JAK阻害薬ルキソリチニブは、 in vitroおよび罹患家族において、 皮膚症状および炎症表現型を減弱させた。

こちらの記事の監修医師
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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