HOKUTO通信
15日前
総務省消防庁は2025年10月から、 マイナンバーカードと一体化した 「マイナ保険証」 の医療情報を救急搬送時に活用する事業の対象を全国すべての720消防本部に広げます。 では、 実際に救急搬送を多く受け入れているのはどこの病院なのでしょう。
消防庁は2024年度、 先行事例として、 東京や大阪など67消防本部 (計660救急隊) で実証事業を行いました。 発表によると、 搬送時にマイナ保険証の情報を閲覧したケースは、 約2か月間で1万1398件に上りました*¹⁾。
中には、 現場に駆けつけたところ、 90代男性が意思疎通できない状態にあり、 一緒にいた妻も既往歴を把握していませんでしたが、 マイナ保険証の通院履歴などから搬送先病院の円滑な選定につなげられたケースなどがあったそうです。
救急搬送は毎年増加傾向にありますが、 実際に受け入れ人数が多い病院はどこなのでしょう。 厚生労働省が毎年公表している 「救命救急センターの評価結果」 の最新版 (2024年) を見てみます。
評価対象となった全国308の救命救急センターのうち、 受け入れが多かった上位30病院は以下の通りです。
全国最多は 「湘南鎌倉総合病院」 (神奈川) の1万9898人。 次いで、 成田赤十字病院 (千葉) の1万4353人、 横須賀共済病院 (神奈川) の1万3901人でした。
なお、 今回の結果は、 2024年1~12月の実績に基づいています。 救命救急センターとしての指定日からカウントしているため、 実情と乖離しているケースもあります。
ただ、 受け入れ実数は医療圏が抱える人口の多さに左右される面もあります。 人口10万人当たりに換算した結果が以下の通りです。
1位は変わらず 「湘南鎌倉総合病院」 (9985人)。 2位は 藤田医科大学病院 (愛知) の8161人、 3位は横須賀共済病院の5871人でした。 実数のランキングでは名前のなかった山形や茨城、 島根などの病院がランクインしています。
次に人口10万人当たりの救急搬送人数を都道府県別にご紹介します。 北海道・東北地方では、 山形県立新庄病院 (山形) の4122人が最多でした。
関東地方をみると、 北関東3県は茨城の日立総合病院 (3433人) が最多。 東京の実数トップは聖路加国際病院でしたが、 人口10万人当たりの最多は日本大学病院 (2427人) でした。
北信越地方では新潟の新潟県立新発田病院 (3100人) が最多でした。 東海地方のうち救急搬送数の多い愛知以外では、 岐阜が大垣市民病院 (3048人)、 三重が松阪中央総合病院 (3257人) で、それぞれトップでした。
近畿地方では兵庫の公立豊岡病院 (4431人) がトップ。 なお、 兵庫の実数最多は全国4位の県立尼崎総合医療センターでした。
大阪の10万人当たりの最多は岸和田徳洲会病院 (2379人) で、 実数トップは大阪赤十字病院でした。
中国地方は広島のJA広島総合病院 (3429人) が、 四国地方は徳島の徳島県立三好病院 (3285人) が、 それぞれ最多でした。
九州地方の最多は福岡の聖マリア病院 (2541人)、 沖縄のトップは浦添総合病院 (2426人) でした。
*¹⁾ 総務省 : マイナ保険証を活用した救急業務の円滑化に係る令和7年度実証事業実施消防本部の決定及び令和6年度実証事業における活用事例 (2025/2/21)
*²⁾ 厚生労働省 : 救命救急センターの評価結果 (令和6年) について (2025/4/15)
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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