海外ジャーナルクラブ
3ヶ月前
Maiaらは、 ブラジルの急性呼吸不全患者を対象として、 原因により5群に層別化し、 7日以内の気管挿管率または死亡率について、 高流量経鼻酸素 (HFNO) の非侵襲的換気 (NIV) に対する非劣性を海外非盲検無作為化比較試験RENOVATEで検討した。 その結果、 非免疫不全、 COPD増悪、 急性心原性肺水腫、 COVID-19の4群において、 HFNOのNIVに対する非劣性が検証された。 本研究は、 JAMA誌にて発表された。
今回の研究では、 5つの対象群に層別化することで、 それぞれで結果が大きく違うことが明確になりました。 このことから、 呼吸不全では一括りにできないことがはっきりしました。
高流量経鼻酸素 (HFNO) の非侵襲的換気 (NIV) は、 急性呼吸不全に対して一般的に用いられているが、 双方の有効性を比較したエビデンスは限定的である。 そこで本研究では、 HFNOのNIVに対する非劣性を検証した。
ブラジルの18歳以上の急性呼吸不全患者1,766例が、 原因別に以下の5群に層別化された。
1. 免疫不全のない低酸素血症 (非免疫不全群)
2. 免疫不全を伴う低酸素血症 (免疫不全群)
3. 呼吸性アシドーシスを伴うCOPD増悪 (COPD増悪)
4. 急性心原性肺水腫 (ACPE群)
5. 低酸素血症を伴うCOVID-19 (COVID-19群)
また、 患者はHFNO群 (883例) とNIV群 (883例) に無作為に割り付けられた。
主要評価項目は7日以内の気管挿管または死亡率であった*。 患者群間で動的利用法を用いた階層ベイズモデルで評価された。
主要評価項目である7日以内の気管挿管または死亡率は、 HFNO群で39% (344例)、 NIV群で38% (336例)であった。
また、 層別化された各患者群の結果はそれぞれ以下の通りであり、 非免疫不全群、 COPD増悪群、 ACPE群、 COVID-19群の4群において、 HFNOのNIVに対する非劣性が検証された。
非免疫不全群
- HFNO群 : 32.5% (81/249例)
- NIV群 : 33.1% (78/236例)
OR 1.02 (95%CI 0.81-1.26)、 NPP 0.999
免疫不全群 *無益性により登録は中止
- HFNO群 : 57.1% (16/28例)
- NIV群 : 36.4% (8/22例)
OR 1.07 (95%CI 0.81-1.39)、 NPP 0.989
COPD増悪群
- HFNO群 : 28.6% (10/35例)
- NIV群 : 26.2% (11/42例)
OR 1.05 (95%CI 0.79-1.36)、 NPP 0.992
ACPE群
- HFNO群 : 10.3% (14/136例)
- NIV群 : 21.3% (29/136例)
OR 0.97 (95%CI 0.73-1.23)、 NPP 0.997
COVID-19群
- HFNO群 : 51.3% (223/435例)
- NIV群 : 47.0% (210/447例)
OR 1.13 (95%CI 0.94-1.38)、 NPP 0.997
一方で、 5つの患者群にわたる動的利用法を用いない事後解析では、 免疫不全群、 COPD増悪群、 ACPE群でいくつかの質的に異なる結果が示された。
重篤な有害事象の発現率は、 HFNO群が9.4%、 NIV群が9.9%で同程度であった。
著者らは 「5つの患者群のうち非免疫不全、 COPD増悪、 ACPE、 COVID-19の4群において、 HFNOのNIVに対する非劣性が検証された。 一方で、 サンプルサイズや解析モデルの感度の観点から、 免疫不全群、 COPD増悪群、 ACPE群において、 さらなる研究の必要性が示唆された」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。