HOKUTO編集部
4ヶ月前

2025年11月7-10日に開催された米国心臓病学会 (AHA 2025) においては、 近い将来の臨床に影響を与え得る最新の研究結果が多数報告されました。 本稿では、 N Engl J Med誌オンライン版に同時掲載された注目の3試験を紹介します。
VESALIUS-CV試験は、 動脈硬化症または糖尿病を有し、 心筋梗塞や脳卒中の既往がない患者1万2,257例を対象に、 抗PCSK9抗体エボロクマブの1次心血管イベント抑制効果をプラセボと比較検証した国際共同二重盲検無作為化比較試験である。
主要評価項目は冠動脈心疾患による死亡、 心筋梗塞、 虚血性脳卒中 (3点MACE) の複合および4点MACE (3点MACE+虚血性動脈血行再建術) とされた。
追跡期間中央値4.6年における3点MACEの発生率は、 プラセボ群8.0%に対し、 エボロクマブ群では6.2%とリスクが有意に低減した (HR 0.75、 95%CI 0.65-0.86、 p<0.001) 。 4点MACEについても、 プラセボ群16.2%に対し、 エボロクマブ群では13.4%とリスクが有意に低減した (HR 0.81、 95%CI 0.73-0.89、 p<0.001) 。 安全性において、 両群間に差はみられなかった。
OCEAN試験は、 心房細動へのアブレーション成功から1年以上経過し、 脳卒中リスク因子 (CHA₂DS₂-VAScスコア≧1など) を有する患者1,284例を対象に、 選択的直接作用型第Ⅹa因子阻害薬リバーロキサバンの有効性と安全性を、 アスピリンと比較評価した国際共同無作為化比較試験である。
主要評価項目は、 3年時点での脳卒中、 全身性塞栓症、 または新規無症候性脳梗塞の複合であった。
3年後の複合イベント発生率はリバーロキサバン群5例 (100患者年当たり0.31イベント)、 アスピリン群9例 (100患者年当たり0.66イベント) であり、 両群間に統計学的有意差は認められなかった (相対リスク 0.56、 95%CI 0.19-1.65、 p=0.28)。
主要な安全性評価項目において、 致死性または重大な出血の発生率は、 リバーロキサバン群で1.6%、 アスピリン群で0.6%だった (HR 2.51、 95%CI 0.79-7.95)。 アブレーション成功後の患者におけるイベント発生率は両群ともに極めて低く、 リバーロキサバンによる長期的な経口抗凝固療法継続の明確なベネフィットは示されなかった。
ANGPTL3は脂質代謝を阻害する蛋白質であり、 その遺伝的機能喪失は脂質レベルの低下および心血管疾患リスクの減少と関連する。
本試験は、 既存の脂質低下療法でコントロール不良な難治性脂質異常症患者を対象に、 ANGPTL3遺伝子を点滴で不活化し、 患者のLDLコレステロールや中性脂肪を大幅低下させる 「CRISPR-Cas9遺伝子編集技術」 を用いて開発された薬剤 (CTX310) の安全性と有効性を評価した第I相漸増用量試験である。
15例にCTX310 (体重1kgあたり0.1、 0.3、 0.6、 0.7、 または0.8mg) が単回静脈内投与され、 主要評価項目は有害事象 (用量制限毒性を含む) であった。
CTX310に関連する用量制限毒性は認められなかった。 重篤な有害事象が2例 (13%) で報告された。 有効性に関して、 血清ANGPTL3レベルは用量依存的に低下し、 0.6mg/kg群でベースラインから平均-32.7%、 0.7mg/kg群で平均-79.7%、 0.8mg/kg群で平均-73.2%と顕著な減少を示した。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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