海外ジャーナルクラブ
2年前
Liuらは、 原発性免疫性血小板減少症の患者を対象に、 新規脾臓チロシンキナーゼ (Syk) 阻害薬sovleplenib (HMPL-523) の安全性、 忍容性、 薬物動態、 予備的活性、 第Ⅱ相推奨用量を二重盲検プラセボ対照第Ⅰb/Ⅱ相ランダム化比較試験で検討。 その結果、 sovleplenibは忍容性が高く、 第Ⅱ相推奨用量で原発性免疫性血小板減少症患者に有望な耐久性反応を示した。 本研究はLancet Haematol誌において発表された。
臨床効果が300mgで63%, 400mgで33%と効果が低下している点について、 こういう反応は実験においても臨床データにおいてもたまにあるのですが、 ピークがどこにあるのかもう少し細かくみてみないと実はわかりません。 またこのデータで着目すべきポイントですが、 プラセボの効果が9%であり、 約1割はどのような疾病を対象にしても反応があります。 逆にプラセボの効果がゼロに近い場合には少しそのデータの信憑性に疑問をもたざるを得ません。
Syk阻害薬は、 原発性免疫性血小板減少症に対する治療選択肢の一つとなっている。
全身状態(ECOG PS) が0~1で、 原発性免疫性血小板減少症が6カ月以上続いており、 以前の一次治療で効果がなかったか再発した、 または脾臓摘出術後に反応不良や術後再発した18~75歳の患者。
用量漸増期 (100mg、 200mg、 300mgを1日1回経口投与) および用量拡大期 (第Ⅱ相推奨用量) は、 それぞれ8週間の二重盲検プラセボ対照期間とし、 双方向ウェブ応答システムによりsovleplenibとプラセボの投与群に3:1でランダムに割り付けた後、 16週間のsovleplenib非盲検投与期間を設定した。
0~8週間の連続した2回の診察で、 救済療法を行わずに血小板数が30×109個/L以上に達し、 ベースラインの2倍になった患者の割合。
第Ⅱ相推奨用量は、 1日1回300mgと決定された。
28日間の安全性評価期間中に、 sovleplenib群でグレード2以上の治療関連緊急有害事象が2件発生した (高トリグリセリド血症と貧血)。
致命的な治療上緊急の有害事象は記録されなかった。
Sovleplenibは忍容性が高く、 推奨された第Ⅱ相用量で原発性免疫性血小板減少症患者に有望な耐久性反応を示した。 現在は、原発性免疫性血小板減少症患者におけるsovleplenibの有効性と安全性を確認す第Ⅲ相試験が進行中である。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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