【NEJM】KMTA-rALL乳児、BiTE抗体ブリナツモマブ追加が有望
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2年前

【NEJM】KMTA-rALL乳児、BiTE抗体ブリナツモマブ追加が有望

【NEJM】KMTA-rALL乳児、BiTE抗体ブリナツモマブ追加が有望
van der Sluisらは、 新規に診断されたKMT2A再構成急性リンパ芽球性白血病 (KMTA-rALL) の乳幼児を対象に、 化学療法への二重特異性T細胞誘導(BiTE)抗体ブリナツモマブ追加投与の有効性と安全性を多施設共同前向き単群第Ⅱ相試験で検討。 その結果、 Interfant-06試験の化学療法にブリナツモマブを追加投与した場合、 Interfant-06試験の過去の対照群と比較し、 新たに診断されたKMTA-rALLの乳児において安全で、 高い有効性を示すことが示唆された。 本研究はNEJM誌において発表された。

📘原著論文

Blinatumomab Added to Chemotherapy in Infant Lymphoblastic Leukemia.N Engl J Med. 2023 Apr 27;388(17):1572-1581.PMID: 37099340

👨‍⚕️監修医師のコメント

Nature reviewsに本研究成果のコメントが取り上げられています。 単施設による第Ⅱ相試験なのですが、 過去行われたRCTで今回の研究と同じ患者対象群を拾い上げて比較することで、 その有効性まで間接的ですが検討できています。

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小児白血病・リンパ腫診療ガイドライン 2016年版

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背景

乳幼児のKMTA-rALLは、 3年無イベント生存率が40%を下回る進行性の疾患で、 ほとんどの再発は治療中に発生する。 診断後1年以内に3分の2、 2年以内に90%が発症するとされており、 化学療法が強化されたにもかかわらず、 ここ数十年、 治療成績は改善されていない。

研究デザイン

対象

新たにKMTA-rALLと診断された1歳未満の乳幼児:30例

介入

Interfant-06試験で使用された化学療法に、 ブリナツモマブを追加投与。

主要評価項目

臨床的に関連する毒性

(ブリナツモマブに起因する可能性がある、 または確実に起因し、 ブリナツモマブの永久投与中止または死亡に至った毒性)

研究結果

主要評価項目

主要評価項目に該当する有害事象は認められなかった。

有害事象

10件の重篤な有害事象が報告された。

  • 発熱:4例
  • 感染:4例
  • 高血圧:1例
  • 嘔吐:1例

毒性プロファイル

高齢の患者で報告されたものと一致していた。

ブリナツモマブ注入後の微小残存病変 (MRD)

  • MRD陰性:16例
  • 低レベルのMRD (<5×10⁻⁴、 正常細胞1万個あたり白血病細胞5個未満) :12例

化学療法を継続した患者のMRD

化学療法を継続した患者は、 その後の治療ですべてMRD陰性となった。

2年無病生存率 (DFS) およびOS

  • 2年DFS:81.6% (95%CI 60.8-92.0%)
  • 2年OS:93.3% (95%CI 75.9-98.3%)

Interfant-06試験における2年DFSおよびOS

  • 2年DFS:49.4% (95%CI 42.5-56.0%)
  • 2年OS:65.8% (95%CI 58.9-71.8%)

結論

Interfant-06の化学療法にブリナツモマブを追加した場合、 Interfant-06試験で得られた過去の対照群と比較して、 新たにKMT2A再配列ALLと診断された乳児において安全で、 高い有効性を示すことが示唆された。

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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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