海外ジャーナルクラブ
8ヶ月前
Sheltonらは、 英国の35~69歳の成人集団を対象に、 25年間の癌罹患率と死亡率を後ろ向き2次データ解析で検討した。 その結果、 1993~2018年の25年間に癌罹患数は増加した一方で、 癌死亡率は減少していることが示された。 本研究は、 BMJ誌において発表された。
癌のスクリーニング検査の目覚ましい進化を遂げていることから今後10年間で先進的なスクリーニング方法が採用され、 さらに死亡率が低下することが期待されます。
1993~2018年に癌と診断された、 または癌で死亡した、 英国の35~69歳の男女
癌の年齢調整罹患率および年齢調整死亡率の経時的変化
年齢調整罹患率は年平均で0.8%上昇していた。
罹患率の増加は、 主に前立腺癌 (男性) と乳癌 (女性) によるものだった。 これら2癌種を除けば、 他のすべての癌を合わせた年齢調整罹患率は比較的安定的に推移していた。 罹患率の少ない、 一般的ではない癌の傾向は、 例えば悪性黒色腫、 肝臓癌、 口腔癌、 腎癌などで罹患率の増加が顕著であった。
死亡率が最も低下したのは、 男性では胃癌、 中皮腫、 膀胱癌、 女性では胃癌、 子宮頸癌、 非ホジキンリンパ腫であった。 罹患率と死亡率の変化のほとんどは、 変化の大きさが比較的小さくても統計学的に有意であった。
著者は、 「英国の35~69歳の成人において、 癌死亡率は過去25年間で大幅に減少した。 この減少は、 癌の予防と早期発見、 診断検査の改善、 より有効な治療法の開発が寄与している可能性が高い。 一方で、 喫煙以外のリスク因子の増加が、 特定の癌の罹患率増加に関連していると考えられる。 この解析の結果は、 新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) の影響を含めて、 癌罹患率およびアウトカムに関する今後10年間の評価基準にもなるだろう」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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