海外ジャーナルクラブ
1年前
Schragらは、 癌患者における静脈血栓塞栓症 (VTE) 再発予防のための直接経口抗凝固薬 (DOAC) と低分子ヘパリン (LMWH) の有効性を非盲検比較有効性非劣性ランダム化比較試験で検討。 その結果、 DOACはLMWHと比較してVTE再発予防において非劣性であることが明らかになった。 本研究はJAMA誌に掲載された。
comparative effectiveness, noninferiority randomized clinical trialというRCTデザインです。 優劣が一度に見られる研究デザインです。 DOACがLMWHに対して2.7%VTE発生率を下回っているのですが、 当初設定した優位性は証明されなかったようです。
VTEを起こした癌患者では、 VTEの再発を予防するためにLMWHによる長期抗凝固療法が推奨される。 癌患者におけるVTE再発予防のために、 LMWHと比較したDOACの有効性は不明である。
新たにVTEと診断された癌患者 (侵襲性固形腫瘍、 リンパ腫、 多発性骨髄腫、 慢性リンパ性白血病) :671例
患者は以下の群に1:1の割合でランダムに割り付けられた。
6カ月後のVTE再発率
事前に規定した非劣性基準を下回り、 LMWHに対するDOACの非劣性が証明された。
事前に規定された6つの副次評価項目のうち、 統計的に有意なものはなかった。
大出血はDOAC群5.2%、 LMWH群5.6% (差:-0.4%、 1サイド95%CI -100%-2.5%) であり、 非劣性基準に合致しなかった。
重篤な有害事象は、 DOAC群で33.8%、 LMWH群で35.1%の参加者に発生し、 最も多かった重篤な有害事象は、 貧血と死亡であった。
6カ月間の追跡調査の結果、 VTEの再発予防においてDOACはLMWHと比較して非劣性であった。 これらの知見は、 癌患者におけるVTE再発予防のためのDOACの使用を支持するものである。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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