【JAMA】がん患者のVTE再発予防、DOACは低分子ヘパリンに対し非劣性
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海外ジャーナルクラブ

1年前

【JAMA】がん患者のVTE再発予防、DOACは低分子ヘパリンに対し非劣性

Schragらは、 癌患者における静脈血栓塞栓症 (VTE) 再発予防のための直接経口抗凝固薬 (DOAC) と低分子ヘパリン (LMWH) の有効性を非盲検比較有効性非劣性ランダム化比較試験で検討。 その結果、 DOACはLMWHと比較してVTE再発予防において非劣性であることが明らかになった。 本研究はJAMA誌に掲載された。

📘原著論文

Direct Oral Anticoagulants vs Low-Molecular-Weight Heparin and Recurrent VTE in Patients With Cancer: A Randomized Clinical Trial. JAMA. 2023 Jun 2. doi: 10.1001/jama.2023.7843. PMID: 37266947

👨‍⚕️監修医師のコメント

comparative effectiveness, noninferiority randomized clinical trialというRCTデザインです。 優劣が一度に見られる研究デザインです。 DOACがLMWHに対して2.7%VTE発生率を下回っているのですが、 当初設定した優位性は証明されなかったようです。

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背景

VTEを起こした癌患者では、 VTEの再発を予防するためにLMWHによる長期抗凝固療法が推奨される。 癌患者におけるVTE再発予防のために、 LMWHと比較したDOACの有効性は不明である。

研究デザイン

対象

新たにVTEと診断された癌患者 (侵襲性固形腫瘍、 リンパ腫、 多発性骨髄腫、 慢性リンパ性白血病) :671例

介入

患者は以下の群に1:1の割合でランダムに割り付けられた。

  • DOAC群:335例
  • LMWH群:336例
患者は6カ月間または死亡するまで追跡

主要評価項目

6カ月後のVTE再発率

副次評価項目

  • 大出血を含む6つの項目
  • 非劣性マージン:2.5%

研究結果

主要評価項目

事前に規定した非劣性基準を下回り、 LMWHに対するDOACの非劣性が証明された。

  • DOAC群:6.1%
  • LMWH群:8.8%
差:-2.7%、 1サイド95%CI -100-0.7%

副次評価項目

事前に規定された6つの副次評価項目のうち、 統計的に有意なものはなかった。

大出血はDOAC群5.2%、 LMWH群5.6% (差:-0.4%、 1サイド95%CI -100%-2.5%) であり、 非劣性基準に合致しなかった。

安全性評価

重篤な有害事象は、 DOAC群で33.8%、 LMWH群で35.1%の参加者に発生し、 最も多かった重篤な有害事象は、 貧血と死亡であった。

結論

6カ月間の追跡調査の結果、 VTEの再発予防においてDOACはLMWHと比較して非劣性であった。 これらの知見は、 癌患者におけるVTE再発予防のためのDOACの使用を支持するものである。

こちらの記事の監修医師
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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