海外ジャーナルクラブ
3ヶ月前
Wongらは、 禁煙による癌の術後合併症リスクへの影響を検討した。 その結果、 手術4週間前までの禁煙開始により、 術後合併症リスクが軽減することが示された。 試験結果はJAMA Network Open誌に発表された。
このメタ解析に組み込まれた多くの研究では、 喫煙状況や禁煙状況の分類に患者自身による自己申告情報を用いています。 そのため、 客観的な測定方法に比べて喫煙行動が過小評価される可能性があることを指摘しています。
喫煙者は術後合併症リスクが高いとされ、 癌患者では外科的治療が延期されることもある。 しかし、 喫煙歴のある癌患者に対して手術を延期すべきかどうかを判断するための明確な根拠は乏しい。
そこで、 がん患者の喫煙状況や禁煙期間と術後合併症リスクの関連を明らかにするため、 系統的レビューおよびメタ解析を実施した。
2000年1月1日~23年8月10日に発表された研究を対象にデータを選定し、 ランダム効果モデルを用いて統合、 解析した。
喫煙者と非喫煙者の癌術後合併症発生率を比較した観察研究および介入研究を対象とした。 主要評価項目は、 術前の喫煙状況別の術後合併症に関するオッズ比 (OR) であった。
術前4週間以内に喫煙した患者では、 4週間前までに禁煙を開始した患者と比べて術後合併症リスクが高かった。 そして、 喫煙歴のない患者と比べるとリスクはさらに高かった。
一方で、 術前2週間以内に喫煙した患者と、 術前2週間~3ヵ月の間に禁煙した患者の間にリスクの差はなかった。
術前1年以内に喫煙した患者では、 1年以上前から禁煙している患者に比べると、 OR 1.13 (95%CI 1.00-1.29、 研究13件3万1,238例) で合併症リスクはやや高かった。
著者らは 「癌患者が手術4週間前までに禁煙すると術後合併症リスクが軽減することが示された。 最適な禁煙期間を明らかにするために、 介入研究による詳細なエビデンス構築が望まれる」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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