海外ジャーナルクラブ
12ヶ月前
Bateman氏らは、 早期アルツハイマー病 (AD) 患者を対象に、 完全ヒトモノクローナルIgG1抗体gantenerumabの効果について第III相無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験 「GRADUATE I」 および 「GRADUATE II」 で検討した。 この結果、 116週時点でプラセボ群に比較してアミロイドプラークによる負荷を低減させたが、 臨床症状の悪化抑制とは関連しなかった。 本研究はNEJMに掲載された。
Two Phase 3 Trials of Gantenerumab in Early Alzheimer's Disease
アルツハイマー病を含めた神経領域では昨今negative studyが続いています。 ふと神経領域ではアウトカムbasedではなく、 病態orientedの治療を考えたくなりますが、 本研究結果を見るとやはりアウトカムの重要性を再認識します。
アミロイドβ (Aβ) を標的とするモノクローナル抗体は、 早期AD患者の認知機能および身体機能の低下を遅らせる可能性がある。 gantenerumabは、 Aβ凝集体に対して最も高い親和性を有する完全ヒト型抗Aβ IgG1モノクローナル抗体であり、 皮下投与型のAD治療薬として試験が進められている。
ADによる軽度認知障害または軽度アルツハイマー型認知症を有する50~90歳の患者
患者を以下のように1 : 1の割合で無作為に割り付け、 2件の第Ⅲ相試験 (GRADUATE IおよびII) を実施した。
116週目におけるCDR6項目合計スコア (CDR-SB) のベースラインからの変化量
CDR-SBのベースラインからの変化量に有意差は認められなかった。
GRADUATE I
群間差 : -0.31、 p=0.10
GRADUATE II
群間差 : -0.19、 p=0.30
116週時点でのPETにおける両群のアミロイドレベルの差
gantenerumab群におけるアミロイド陰性状態の患者割合
浮腫を伴うアミロイド関連画像異常の発現率
早期ADにおいて、 gantenerumabはアミロイドプラーク負荷を低減させたが、 臨床症状の悪化の抑制とは関連付けられなかった。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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