【AGA】中等度~重度UCの薬物治療 リビングガイドライン2024 「何がわかる?」
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医療の最前線から

3ヶ月前

【AGA】中等度~重度UCの薬物治療 リビングガイドライン2024 「何がわかる?」

【AGA】中等度~重度UCの薬物治療 リビングガイドライン2024 「何がわかる?」
世界中の注目記事を紹介する連載 「医療の最前線から」 です。 今回は、 2024年に米国消化器病学会 (AGA) により発表された 「中等度~重度の潰瘍性大腸炎 (UC) に対する薬物治療リビングガイドライン」 を取り上げます。 

このガイドラインで何が学べる?

💡 中等度~重度UCに対する薬物治療の推奨

💡 既存薬と新規クラス薬の使い分け

💡 免疫調節薬 (MTXなど) の位置づけ

💡 コンビネーション療法の推奨度

💡 Step-up vs. Top-down戦略について

治療選択肢が大幅に拡充されている近年、 ガイドラインが定期的に “アップデート” される 「リビングガイドライン」 という位置づけの本記事では、 合計14の推奨項目が提示され、 複数の生物学的製剤やJAK阻害薬、 S1P受容体調節薬など、 多岐にわたる薬剤をどう使い分けるかが論じられています。

本論文で記載されている薬剤と本邦商品名
【AGA】中等度~重度UCの薬物治療 リビングガイドライン2024 「何がわかる?」

原著論文で詳細を確認する

AGA Living Clinical Practice Guideline on Pharmacological Management of Moderate-to-Severe Ulcerative Colitis. Gastroenterology. 2024 Dec;167(7):1307-1343. PMID: 39572132


編集部が選ぶ3つのポイント

❶ “高い有効性” vs “中程度の有効性”を踏まえた薬剤選択について

ガイドラインでは、 有効性を3段階に分けて推奨しています。 以下はそれぞれの薬剤記載例です。

生物学的製剤の未使用患者

高い有効性 : インフリキシマブ、 ベドリズマブ、 オザニモド、 エトラシモド、 ウパダシチニブ、 リサンキズマブ、 グセルクマブ

中程度の有効性 : ゴリムマブ、 ウステキヌマブ、 トファシチニブ、 フィルゴチニブ、 ミリキズマブ

低い有効性 : アダリムマブ

生物学的製剤の治療歴がある患者

高い有効性 : トファシチニブ、 ウパダシチニブ、 ウステキヌマブ

中程度の有効性 :フィルゴチニブ、 ミリキズマブ、 リサンキズマブ、 グセルクマブ

低い有効性 :アダリムマブ、 ベドリズマブ、 オザニモド、 エトラシモド

特にウパダシチニブは生物学的製剤未使用例との比較においても有効性が高く評価されました。 一方でJAK阻害薬は、 心血管リスクや悪性腫瘍リスクがある患者に慎重投与が勧められている点には留意が必要であり、 米国ではTNFα阻害薬で効果がなかった場合のみ使用することなどが勧告されています。

💡 論文内には、 各薬剤の 「推奨の強さ」 や 「効果の大きさ」 を示した図表が掲載され、 治療選択の参考になります。 

❷️ 免疫調整薬 (チオプリン製剤やメトトレキサート) の位置づけは?

急性期の寛解導入において、 以前から用いられてきたチオプリン製剤単独は弱い推奨となっています。 ただし、 経口剤であり費用が安いことなどから、 ステロイドと併用して緩やかに維持療法へ移行するケースは限定的ながら存在するとしています。 また、 メトトレキサートはUC単独では有効性が乏しいとの結論で、 CDでは一定の効果が知られますが、 UCでは推奨されないと明示されています。

💡 特に 「抗TNF +チオプリン製剤」 の併用療法は有用とされ、 UC-SUCCESS試験などのデータも引用されます。 一方、 併用により悪性リンパ腫リスクが高まるとの報告もあり、 リスク・ベネフィット評価が鍵です。 

❸ Step-up か Top-down か?

5-ASAではコントロール困難なほどの中等度~重度UCでは、 「早期に高度治療 (生物学的製剤やJAK阻害薬など) 」 を導入した方が効果的だろうという条件付き推奨となっています。

また、 免疫調節薬や生物学的製剤へ移行した場合、 5-ASAを追加しても有意なエビデンスは乏しいため、 原則的には中止可能とのことです。 ただし 「残存する軽度の直腸病変には局所5-ASAも検討」 という柔軟な記載となっています。

💡 コスト・投薬数削減や有効性の面からも、  「5-ASAをいつまで併用すべきか」 を再考するきっかけになる内容です。 

詳細は是非本文を確認ください。

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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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