【NEJM】治療抵抗性大うつ病、 ケタミンは電気痙攣療法に対し非劣性
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海外ジャーナルクラブ

11ヶ月前

【NEJM】治療抵抗性大うつ病、 ケタミンは電気痙攣療法に対し非劣性

【NEJM】治療抵抗性大うつ病、 ケタミンは電気痙攣療法に対し非劣性
Anandらは、 治療抵抗性大うつ病の患者を対象に、 麻酔域下用量のケタミンと電気痙攣療法 (ECT) の相対的有効性を非盲検無作為化非劣性試験で検討。 その結果、 ケタミンはECTに対して非劣性を示した。 本研究はNEJM誌において発表された。 

📘原著論文

Ketamine versus ECT for Nonpsychotic Treatment-Resistant Major Depression. N Engl J Med. 2023 Jun 22;388(25):2315-2325.PMID: 37224232

👨‍⚕️監修医師のコメント

精神疾患なので長期アウトカムも必ず見てみたいところです。 またケタミンがECTと同等ということから、 完全なプラセボを置いてみてその結果を見てみたい感がします。


背景

ECTと麻酔域下ケタミン静注療法は、 どちらも治療抵抗性の大うつ病に用いられているが、 2つの治療法の有効性の比較については明確な結論が出ていない。

研究デザイン

対象

精神病を伴わない治療抵抗性の大うつ病患者

介入

患者を以下の群に1:1の割合で割り付け。

  • ケタミン群:200例
  • ECT群:203例
治療初期3週間の間に、 患者はECTを週3回、 またはケタミンの投与 (0.5 mg/kg体重を 40分かけて投与) を週2回受けた。

主要評価項目

治療効果

16 項目の自己記入式簡易抑うつ症状尺度 [QIDS-SR-16] スコアがベースラインから 50%以上低下
非劣性マージン:10%ポイント

副次評価項目

記憶検査のスコア、 患者報告によるQOL

研究結果

主要評価項目

  • ケタミン群:55.4%
  • ECT群:41.2%
差 14.2%ポイント(95%CI 3.9-24.2、 ケタミンのECTに対する非劣性のP<0.001)

副次評価項目

記憶検査のスコア

  • ECTは、 治療3週間後の記憶再生の低下と関連しているようであったが、 追跡期間中に徐々に回復した。

ホプキンス言語学習テスト改訂版の遅延再生のTスコアの平均[±SE]低下

  • ケタミン群:-0.9±1.1
  • ECT群:-9.7±1.2

患者報告によるQOLの改善

  • 2つの試験群で同程度であった。

安全性評価

ECTは筋骨格系の副作用と関連していたのに対し、 ケタミンは解離と関連していた。

結論

ケタミンは、 精神病を伴わない治療抵抗性大うつ病に対する治療としてECTに対して非劣性であった。

こちらの記事の監修医師
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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