海外ジャーナルクラブ
1年前
Chiesaらは、 小児の再発T細胞急性リンパ性白血病患者 (ALL) を対象に、 塩基編集したCAR7 T細胞の安全性を第Ⅰ相試験で検討。 中間解析の結果、 CAR7 T細胞は患児に対し強力な活性を示し、 3例中1例はCAR7 (BE-CAR7) の単回注入後 28 日以内に分子的寛解が得られた一方で、 1例は合併症により死亡したことを報告した。 本研究はNEJM誌において発表された。
3例での報告ですが、 1例は死亡しています。 本研究自体は10例が予定されており、 今後の長期アウトカム結果が期待されます。
clustered regularly interspaced short palindromic repeats (CRISPR) によって誘導されるシチジンの脱アミノ化は、 DNAを切断させることなく、 シトシンからチミンへの変換を実現する。 これにより遺伝子編集が可能となり、 転座やその他の染色体異常を誘発することなく、 遺伝子を不活化することができる。 再発小児T細胞白血病患者を対象に、 この技術の使用が研究されている。
再発白血病の患児:3例
1例目の患児 (同種幹細胞移植後に再発したT細胞性ALL :13歳) は、 塩基編集したCAR7 (BE-CAR7) の単回注入後28日で分子的寛解を達成した。 患児はその後、 元のドナーから強度減弱 (骨髄非破壊的) 前処置による同種幹細胞移植を受け、 免疫学的再構成に成功し、 白血病の寛解が継続した。
同じバンクのBE-CAR7細胞は他2例にも強力な活性を示し、 1例は致死的な真菌性合併症が生じたが、 もう1例の患児は寛解期に同種幹細胞移植を受けた。
有害事象として、 サイトカイン放出症候群、 多系統の血球減少、 日和見感染などが報告された。
この第Ⅰ相試験の中間結果は、 再発白血病患者に対する塩基編集したT細胞のさらなる研究を支持し、 免疫療法に関連した合併症の予想されるリスクを示している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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