【NEJM】塩基編集をしたCAR7 T細胞治療、再発T細胞ALLでの安全性を検証
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海外ジャーナルクラブ

1年前

【NEJM】塩基編集をしたCAR7 T細胞治療、再発T細胞ALLでの安全性を検証

【NEJM】塩基編集をしたCAR7 T細胞治療、再発T細胞ALLでの安全性を検証
Chiesaらは、 小児の再発T細胞急性リンパ性白血病患者 (ALL) を対象に、 塩基編集したCAR7 T細胞の安全性を第Ⅰ相試験で検討。 中間解析の結果、 CAR7 T細胞は患児に対し強力な活性を示し、 3例中1例はCAR7 (BE-CAR7) の単回注入後 28 日以内に分子的寛解が得られた一方で、 1例は合併症により死亡したことを報告した。 本研究はNEJM誌において発表された。

📘原著論文

Base-Edited CAR7 T Cells for Relapsed T-Cell Acute Lymphoblastic Leukemia. N Engl J Med. 2023 Sep 7;389(10):899-910. PMID: 37314354

👨‍⚕️監修医師のコメント

3例での報告ですが、 1例は死亡しています。 本研究自体は10例が予定されており、 今後の長期アウトカム結果が期待されます。

背景

clustered regularly interspaced short palindromic repeats (CRISPR) によって誘導されるシチジンの脱アミノ化は、 DNAを切断させることなく、 シトシンからチミンへの変換を実現する。 これにより遺伝子編集が可能となり、 転座やその他の染色体異常を誘発することなく、 遺伝子を不活化することができる。 再発小児T細胞白血病患者を対象に、 この技術の使用が研究されている。

研究デザイン

対象

再発白血病の患児:3例

方法

  • 塩基編集を用いて、 誰に対しても、すぐに使える (off-the-shelf) CAR-T細胞を作成した。
  • 健常なボランティアドナーT細胞を用いて、 T細胞性ALLで発現するタンパク質であるCD7に対して特異性なCAR (CAR7) を、 レンチウイルスで形質導入して発現させた。
  • 塩基編集を用いて、 リンパ節除去血清療法、 CAR7 T細胞のfratricide、 移植片対宿主病を回避するために、 CD52受容体、 CD7受容体、 αβT細胞受容体のβ鎖をコードする3つの遺伝子をそれぞれ不活性化した。
  • これらの編集されたCAR7 T細胞の安全性を対象患児3例を用いて検討した。

研究結果

有効性評価

1例目の患児 (同種幹細胞移植後に再発したT細胞性ALL :13歳) は、 塩基編集したCAR7 (BE-CAR7) の単回注入後28日で分子的寛解を達成した。 患児はその後、 元のドナーから強度減弱 (骨髄非破壊的) 前処置による同種幹細胞移植を受け、 免疫学的再構成に成功し、 白血病の寛解が継続した。

同じバンクのBE-CAR7細胞は他2例にも強力な活性を示し、 1例は致死的な真菌性合併症が生じたが、 もう1例の患児は寛解期に同種幹細胞移植を受けた。

安全性評価

有害事象として、 サイトカイン放出症候群、 多系統の血球減少、 日和見感染などが報告された。

結論

この第Ⅰ相試験の中間結果は、 再発白血病患者に対する塩基編集したT細胞のさらなる研究を支持し、 免疫療法に関連した合併症の予想されるリスクを示している。

こちらの記事の監修医師
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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