海外ジャーナルクラブ
1年前
Alexanderらは、 生後6カ月から18歳の成熟型B細胞性非ホジキンリンパ腫 (B-NHL) 児患者を対象に、 化学療法へのリツキシマブの追加効果を国際非盲検第Ⅲ相ランダム化比較試験Inter-B-NHL Ritux 2010で検討。 その結果、 リツキシマブによる化学療法を受けた高リスク成熟型B-NHLの小児は、 重症感染症はまれであったが、 低ガンマグロブリン血症(低 IgG 血症)が長期化するリスクがあることが示唆された。 本研究はLancet Haematol誌において発表された。
本研究の副反応の結果の一部分とも見れなくもないですが、 興味のあるトピックスに対して、 掘り下げるためには今回のようにsecondary analysisとして別研究とするのは妥当です。 低 IgG 血症が長期化するリスクがあるという臨床へのメッセージも極めて重要です。
高リスクの成熟型B-NHLの小児および青年の生存率は、 化学療法にリツキシマブを併用することで改善される。 しかし、 治療後の免疫再構築に対するリツキシマブの効果については、 十分に説明されていない。
生後6カ月から18歳のB-NHLの患者。
総リンパ球数、 B細胞数、 IgG濃度
免疫グロブリン補充療法への曝露やワクチン血清学的検査
リツキシマブ併用群は、 対照群よりもリンパ球減少症、 B細胞リンパ球減少症、 低 IgG 血症になる可能性が高かった。
低 IgG 血症のみ1年後も両軍で差を認めた。
リツキシマブ併用群の患者は、 対照群よりも免疫グロブリン補充を受ける可能性が高く, 主に免疫グロブリン濃度低下によるものと考えられた。
非ランダムに割り付けられた患者を含む複合治療群では、 ワクチンで予防可能な感染症に対する防御血清が消失した患者の割合は、 ポリオでは9% (47例中4例)、 肺炎球菌では42% (50例中21例) と幅があった。
化学療法最終投与から2カ月後に、 リツキシマブ併用群の1例において多菌性細菌性敗血症による生命を脅かす感染症イベントが報告された。
リツキシマブ併用療法を受けた高リスク成熟型B-NHLの患者は、 重症感染症はまれであったが、低 IgG 血症が長期化するリスクがある。 免疫グロブリン補充と再接種に関する戦略が必要である。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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