海外ジャーナルクラブ
3日前

梶の木内科医院副院長の片野敬仁氏らの研究グループは、 ステロイド静注に不応の急性重症潰瘍性大腸炎で救済療法を受けた患者300例を対象に、 インフリキシマブとタクロリムスの有効性と安全性を後ろ向きコホート研究で比較した。 その結果、 主要評価項目である14日時点の臨床的寛解率は、 インフリキシマブ群で41.6%、 タクロリムス群で33.7%であり、 両群間で有意差は認められなかった。 研究結果はJ Crohns Colitis誌に発表された。
症例数が300例 (インフリキシマブ群113例、 タクロリムス群187例) と比較的少なく、 特に手術率や有害事象の差を検出する統計学的検出力が不十分な可能性があるのはlimitationです。
ステロイド静注に不応の急性重症潰瘍性大腸炎では救済療法の選択肢は限られ、 臨床上の大きな課題となっている。 これまで、 タクロリムスが救済療法の候補として提案されてきたが、 この状況で広く使用されているインフリキシマブと比べた有効性と安全性は明らかになっていない。
本研究では、 日本の34施設でステロイド静注に不応の急性重症潰瘍性大腸炎で入院し、 救済療法としてインフリキシマブまたはタクロリムスが投与された患者300例を後ろ向きに解析した。 解析対象は以下の2群である。
主要評価項目は14日時点の臨床的寛解 (患者報告の2項目スコアで評価) とした。 副次評価項目は、 3日時点と7日時点の臨床的反応、 56日以内の大腸切除術、 56日以内の有害事象とした。
主要評価項目である14日時点の臨床的寛解率については、 両群間で有意差は認められなかった。
14日時点の臨床的寛解率
調整リスク比 0.87 (95%CI 0.65–1.17)
3日時点の臨床的反応率はインフリキシマブ群に比べてタクロリムス群で有意に低かった。 7日時点では両群間に有意差は認められなかった。
3日時点の臨床的反応率
調整リスク比 0.58 (95%CI 0.42–0.80)
7日時点の臨床的反応率
調整リスク比 0.83 (95%CI 0.69–1.01)
56日以内の大腸切除術の施行率についても両群間に有意差は認められなかった。
56日以内の大腸切除術
調整リスク比 1.58 (95%CI 0.93–2.67)
56日以内の有害事象の発生率についても両群間に有意差は認められなかった。
56日以内の有害事象
調整リスク比 0.77 (95%CI 0.37–1.57)
著者らは、 「ステロイド静注に不応の急性重症潰瘍性大腸炎に対する救済療法として、 タクロリムスはインフリキシマブと同程度の有効性と安全性を示したが、 早期の治療反応が遅かった」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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