【Clin Nutr】短腸症候群へのテデュグルチド短期投与で在宅静脈栄養量が有意に減少
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2年前

【Clin Nutr】短腸症候群へのテデュグルチド短期投与で在宅静脈栄養量が有意に減少

【Clin Nutr】短腸症候群へのテデュグルチド短期投与で在宅静脈栄養量が有意に減少
Satoらは、 クローン病 (CD) 患者の慢性腸不全を伴う短腸症候群 (SBS-IF) に対する、 グルカゴン様ペプチド (GLP) -2アナログ製剤テデュグルチド (TED) の短期投与の効果を後ろ向き研究で検討。 その結果、 TED投与は、 SBS-IFを伴うCD患者では8週、 結腸連続性を有さない患者においては4週の短期投与で在宅静脈栄養 (PS) 量を有意に減少させる効果があったことを報告した。 本研究はClin Nutr誌において発表された。

📘原著論文

Short-term clinical evaluation of teduglutide for patients with Crohn's disease on home parenteral support for postoperative short bowel syndrome with intestinal failure.Clin Nutr. 2023 Mar 18;42(5):722-731. PMID: 37001195

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

かなり稀な疾患であるため、 なかなかRCTを行うのは難しいかもしれません。 単施設後ろ向きコホート研究結果であるので、 現在のアカデミアではRCTと区別するためにタイトルに研究デザインを入れたり、 テキストの結果の語調を弱めたりすることが多いです。

▼短腸症候群とは?

短腸症候群 (Short Bowel Syndrome: SBS)とは、 広範な腸管切除に起因する消化吸収障害 (栄養障害、 下痢、 脱水、 体重減少など)を特徴とする症候群です¹⁾²⁾。 小児では壊死性腸炎や先天性異常、 成人では腸間膜血管疾患や炎症性腸疾患、術後合併症が最も一般的な原因です³⁾。

腸管大量切除直後、 患者の栄養状態を維持するため、 中心静脈栄養 (Total Parenteral Nutrition:TPN) を要します。 多くは腸管機能が順応していきますが、 腸管機能不全を伴う短腸症候群 (SBS-IF) として、 生涯TPNを要することがあります²⁾。

ただし、TPNの長期使用は 肝障害、 カテーテル関連血流感染症など重大な副作用を引き起こす可能性があり、 その長期的な管理は困難を伴うことが知られています⁴⁾。

1) Clin Nutr. 2016 Apr;35(2):247-307.
2) Clin Nutr. 2015 Apr;34(2):171-80.
3) Gastroenterology. 2006 Feb;130(2 Suppl 1):S5-S15.
4) Gut. 1999 Jun;44(6):844-52.

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背景

CD患者の慢性腸管不全を伴うSBS-IFに対するTEDの短期効果は、 依然として不明である。

研究デザイン

方法

2020~2021年にTEDを投与したSBS-IFを伴うCD患者のカルテを後ろ向きに調査

主要評価項目

PS量の変化、 PS量が8週目に20%以上減少した患者の割合

副次評価項目

結腸連続性の有無別に見たPS量の変化、および観察期間中の有害事象

研究結果

解析対象について

SBS-IFのために在宅PSを受けた18例のCD患者が本試験に参加した。 8週間以内に耐えられない腹痛や嘔吐があったため、 2例 (11%) の患者が除外された。 残りの16例は、 観察期間中、 TEDを継続した。

  • PS期間中央値:10.5年
  • 観察期間中央値:TED開始から22週間

PS量の減少

TEDはPS量を15,825mL/週から10,700mL/週へと有意に減少させ (p=0.0038)、 8週目には43.8%の患者 (7例) でPS量が20%以上減少していた。

結腸連続性との関係

PS量は結腸連続性がない11例では4週目に有意に減少した(p = 0.0078) が、 結腸連続性のある5例では減少が認められなかった。

在宅PSの中止

2例が在宅PSの中止に成功した。

安全性評価

重篤な有害事象は認められなかった。

著者らの結論

TED投与は、 短腸症候群に伴うクローン病患者において8週目に、 また結腸が連続していない患者において4週目に、 在宅PS量を有意に減少させた。

こちらの記事の監修医師
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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