海外ジャーナルクラブ
7ヶ月前
Cipollettaらは、 尿酸降下療法を開始した痛風患者において、 コルヒチンによるフレア (尿酸降下に伴う急性炎症) の予防が心血管リスクに与える影響を評価するため、 英国のプライマリケアデータを用いたレトロスペクティブコホート研究を実施した。 その結果、 コルヒチン併用により心血管リスクが低下することが示唆された。 本研究はLancet Rheumatologyに発表された。
コルヒチンは痛風治療薬ですが,欧米では抗炎症作用から抗動脈作用と血管内皮機能への作用が注目されています。
尿酸降下療法 (アロプリノールやフェブキソスタットなど) は治療開始後数ヵ月間、 痛風フレアのリスクを増加させる。 痛風フレアは心血管病と一時的に関連し、 これを予防する目的でコルヒチン (0.5–1.0mg/日) が推奨されるが、 一般臨床では副作用への懸念や認知不足により処方が限定的である。 一方、 コルヒチンは心血管病の二次予防にも有効とされており、 痛風フレア予防のための低用量コルヒチンが心血管病を抑制する可能性がある。 本研究では、 尿酸降下療法を開始した痛風患者を対象に、 この可能性を評価した。
尿酸降下療法を初めて開始した痛風患者9万9,800例を対象に、 コルヒチン (尿酸降下療法開始時より21日以上の処方) 併用有無で群別した。 主要評価項目は、 尿酸降下療法開始後180日以内の心血管病 (致死的/非致死的の心筋梗塞又は脳卒中の複合)、 副次評価項目は心血管病既往がない患者の初回心血管病、 致死的心血管病と設定された。
コルヒチン併用群は非併用群と比較して、 心血管病が有意に減少した (6.5件減少 [95%CI 9.4件減少-3.6件減少]/1000人年)、 HR 0.82 [95%CI 0.69-0.94])。
Per-protocol解析ではコルヒチン治療を中断した患者を除外し、 治療継続者を対象に解析した結果、 ITT解析と同様の傾向が示されたが効果サイズは小さくなった。
また、 心血管病既往がない患者の初回心血管病もコルヒチン併用群で有意に減少した (HR 0.80 [95%CI 0.62-0.97])。 一方、 致死的心血管病の有意な減少は認められなかった (HR 0.74 [95%CI 0.37-1.10])。
著者らは 「コルヒチンによる痛風フレア予防は、 痛風治療における心血管リスク管理の有効な選択肢となる可能性がある」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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