海外ジャーナルクラブ
20日前
Guptaらは、 メトトレキサート (MTX) 大量投与による急性腎障害 (MTX-AKI) を対象に、 グルカルピダーゼの使用効果を検討した。 その結果、 グルカルピダーゼは腎機能回復や腎外転帰の改善に寄与する可能性が明らかとなった。 本研究はBlood誌にて発表された。
観察研究ですので、 abstractの結論はお決まりのmayとsuggestを用いて 「グルクカルピダーゼがMTX-AKI患者に有効かも」 と弱い表現で記載されています。
メトトレキサートの大量投与は急性腎障害、 好中球減少、 肝毒性などの重篤な副作用を引き起こすことが知られている。
グルカルピダーゼはMTXを分解する組換え酵素であるが、 使用を支持する臨床データは乏しい。
米国内28施設の癌センターの登録データから得られた成人MTX-AKI患者708例を対象に、 MTX投与開始後4日以内にグルカルピダーゼを投与された患者 (209例) と投与されなかった患者 (499例) の転帰について、 多変量ロジスティック回帰モデルとCox回帰モデルを用いて比較した。
主要評価項目は、 退院時の腎機能の回復*だった。 また、 主な副次評価項目は、 腎機能回復までの時間、 7日目における好中球減少症と高トランスアミナーゼ血症のリスク、 死亡までの時間だった。
グルカルピダーゼを投与された209例中183例 (25.8%) が、 腎機能回復を達成した。 グルカルピダーゼ投与群の非投与群に対する腎機能回復の調整オッズ比 (aOR) は2.70だった (95%CI 1.69-4.31)。
グルカルピダーゼ投与群は非投与群に比べ、 腎機能回復までの時間が早く (aHR 1.88、 95%CI 1.18-3.33)、 Grade2以上の好中球減少症および高トランスアミナーゼ血症のリスクが低かった (いずれもaOR 0.50)。
なお、 両群間で生存期間に有意な差はなかった (aHR 0.76、 95%CI 0.49-1.18)。
著者らは 「本試験の結果は、 グルカルピダーゼがMTX-AKI患者の腎機能回復および腎外転帰を改善する可能性を示唆する」 と報告した。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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