海外ジャーナルクラブ
5日前
Guptaらは、 米国でシスプラチンによる化学療法を受けた成人癌患者を対象に、 シスプラチン関連急性腎障害 (CP-AKI) の発現予防を目的としたマグネシウム (Mg) 静注の有効性を多施設共同コホート研究で検討した。 その結果、 シスプラチン投与開始前の予防的Mg静注によりCP-AKIの発現リスクが低下することが明らかとなった。 研究結果はJAMA Oncol誌にて発表された。
経口マグネシウムや利尿薬などの自宅内服薬の詳細が不明であり、 利尿薬に低マグネシウム血症や脱水によるCP-AKIリスクとの関連があることから、 静脈内マグネシウムの効果が過小評価された可能性があります。
シスプラチン関連急性腎障害 (CP-AKI) はシスプラチンによる化学療法で頻繁にみられる合併症であり、 罹患率と死亡率が高い。 予防的マグネシウム (Mg) 静注は動物モデルでCP-AKIを抑制することが示されているが、 ヒトでのCP-AKIとの関連は厳密に評価されていない。
そこでこの研究では、 Mg静注とCP-AKIとの関連を多施設コホート研究で検討した。
米国の主要な癌センター5施設で2006~22年にシスプラチンを初回投与された成人癌患者1万3,719例が、 当日のMg静注実施状況により以下の2群に割り付けられた。
主要評価項目は、 CP-AKIまたは死亡の複合転帰であった。 CP-AKIはベースラインから2倍以上の血清クレアチニン値上昇またはシスプラチン初回投与後14日以内の腎代替療法実施と定義した。
副次評価項目は、 CP-AKIまたは死亡 (代替定義に基づき定義) および90日時点の主要な腎有害事象であった。
Mg静注とCP-AKIの関連を推定するために逆確率重み付け法が用いられ、 人口統計学的特性、 併存疾患、 臨床検査値、 腎毒性のある抗癌剤の同時投与、 部位、 シスプラチン投与年、 シスプラチン投与量で調整された。
主要評価項目であるCP-AKIまたは死亡の割合は、 Mg静注実施群が2.7%、 Mg静注非実施群が5.3%であった (調整オッズ比 0.80 [95%CI 0.66-0.97])。
結果は、 多くの感度分析および90日時点の主要な腎有害事象を含む副次評価項目でもほぼ同じであった。
著者らは 「この研究により、 シスプラチン投与開始前の予防的Mg静注により、 CP-AKIの発現リスクが低下することが明らかとなった。 今後、 無作為化比較試験でこの結果を検証する必要がある」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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