【JAMA Oncol】前立腺癌全摘後のPSA値追跡は3ヵ月以上が望ましい
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海外ジャーナルクラブ

3ヶ月前

【JAMA Oncol】前立腺癌全摘後のPSA値追跡は3ヵ月以上が望ましい

【JAMA Oncol】前立腺癌全摘後のPSA値追跡は3ヵ月以上が望ましい
Tilkiらは、 ドイツの前立腺癌患者を対象に、 根治的前立腺全摘除術 (RP) 後の持続的な前立腺特異抗原 (PSA) 値の適切なモニタリング期間およびPSA値上昇と予後との関連をコホート研究で検討した。 その結果、 過剰治療を避けるために、 RP後は3ヵ月以上のPSAモニタリングが推奨され、 PSA値が持続的に高い患者ほど予後不良であることが明らかになった。 研究結果はJAMA Oncol誌に発表された。 

📘原著論文

Persistent Prostate-Specific Antigen Following Radical Prostatectomy for Prostate Cancer and Mortality Risk. JAMA Oncol. 2025 Mar 13:e250110. Online ahead of print. PMID: 40080000

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

検証コホートにおいて、 持続的PSAかつ前立腺全摘前PSAが20ng/mLを超える患者で、 前立腺癌特異的死亡リスクの有意な低下は確認されたものの、 全死因死亡リスクの低下は有意ではありませんでした。 この点について、 追跡期間が短く、 イベント数も少なかったため、 全死因死亡を評価する統計的検出力が不足していた可能性を指摘しています。

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前立腺癌の病期別サバイバー5年生存率

国立がん研究センター 院内がん登録生存率集計 報告書より

背景

RP後のPSAモニタリング至適期間は不明

前立腺癌に対する根治的前立腺全摘除術 (RP) 後に、 持続的なPSA値を正確に記録する上で、 従来のモニタリング期間である1.5ヵ月から2.0ヵ月が十分であるか否かは明らかになっていない。

そこで、 PSA値の適切なモニタリング期間およびPSA値上昇と予後との関連をコホート研究で検討した。

研究デザイン

死亡リスクをPSA値とPSA検出の有無で層別評価

ドイツの施設でRPを実施したT1N0M0からT3N0M0の前立腺癌患者4万3,298例を対象としたコホート研究 (探索コホート3万461例、 検証コホート1万2,837例) で、 ①RP前のPSA値が20ng/mL超と20ng/mL以下、 ②RP後の持続的なPSA検出と検出不能―との間に前立腺癌特異的死亡リスクおよび全死因死亡リスクに対する有意な相互作用があるか否かを、 以下について調整した上で評価した。

  • 既知の前立腺癌予後因子
  • RP時の年齢
  • RP実施年
  • RP後の補助療法である放射線療法 (RT) およびアンドロゲン除去療法 (ADT) の時間依存的な実施

併せて、 PSA値の持続的な上昇と予後不良との関連性についても評価した。

結果

PSA高値群で全死因死亡・前立腺癌特異的死亡リスクが低下

RP後にPSAが検出不能だった患者と比較して、PSAが持続的に検出された患者においては、RP前のPSA値が20ng/mLを超えるPSA高値群では20ng/mL以下のPSA低群と比べて、 全死因死亡リスク (調整済みHR 0.69 [95%CI 0.51-0. 91]、 p=0.01、 交互作用に対するp<0.001) および前立腺癌特異的死亡リスク (調整済みHR 0.41 [95%CI 0.25-0.66]、 p<0.001、 交互作用に対するp=0.02) が有意に低下した。

この結果は、 前立腺体積の調整後も維持され、 前立腺癌特異的死亡リスクの検証コホートでも確認されたが、 PSA高値群では術後早期に補助療法が実施される傾向にあり、 それ以前に長期のPSA値モニタリング期間が設けられていれば、 PSA低値群と比べてPSA値が検出不能に達していた可能性があると考えられる。

PSA高値群は早期に補助療法開始

PSA高値群はPSA低値群と比べてRP後のRT+ADTまたはADT実施までの期間が短く (中央値2.68ヵ月 [IQR* 1.51-4.40ヵ月] vs 3.30ヵ月 [IQR 2.00-5.39ヵ月])、 頻度が高かった。

この期間は、 観察対象患者のPSAが検出不能になるまでの期間 (中央値 2.96ヵ月 [IQR 1.84-3.29ヵ月] vs 3.37ヵ月 [IQR 2.35-4.09ヵ月]) よりも短かった。

*四分位範囲

PSA値上昇で全死因死亡・前立腺癌特異的死亡のリスク増加

PSA値の持続的な上昇には、 全死因死亡リスク (調整済みHR 1.14 [95%CI 1.04-1.24]、 p=0.004) および前立腺癌特異的死亡リスク (調整済みHR 1.27 [95%CI 1.12-1.45]、 p<0.001) 増加との関連がみられた。

結論

RP後のPSA値モニタリング期間は3ヵ月以上が望ましい

著者らは 「RP後に3ヵ月間以上のPSA値モニタリングを実施することで過剰治療を最小限に抑えられると考えられる。 また、 この研究では、 持続的なPSA値が高いほど予後不良であった」 と報告している。

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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