HOKUTO編集部
23日前
NSCLCの2/3次治療における抗TROP2抗体薬物複合体datopotamab deruxtecan (Dato-DXd) の有効性および安全性について、 ドセタキセル (DTX) を対照に検証した第Ⅲ相無作為化比較試験TROPION-Lung01のOS最終解析の結果より、 OSの有意な改善は認められなかった。 米・Dana-Farber Cancer InstituteのJacob Sands氏が発表した。
進行NSCLCにおいて、 2次治療以降の治療選択肢は限られており、 アンメットニーズが高まっている。 ESMO 2023では、 同試験の中間解析の結果から、 Dato-DXdはDTXと比較して、 主要評価項目である無増悪生存期間 (PFS) を有意に改善したことが報告されている。 今回はもう1つの主要評価項目であるOS最終解析結果が報告された。
>> 中間解析の結果はこちら
2024年3月1日のデータカットオフ時の追跡期間中央値は両群とも23.1ヵ月だった。
OS中央値は両群で有意差を認めなかった。
ITT集団におけるOS中央値
HR 0.94 (95%CI 0.78-1.14)、 p=0.530
12ヵ月時OS率は、 Dato-DXd群で53.8%、 DTX群で49.9%だった。
24ヵ月時OS率は、 それぞれ25.8%、 20.2%だった。
事前に規定されたOSサブグループ解析の結果、 非扁平上皮癌患者ではDato-DXd群で死亡リスクが16%低減し、 OS中央値が数値的には2.3ヵ月長かった。
非扁平上皮癌患者のOS中央値
HR 0.84 (95%CI 0.68-1.05)
OS率は12ヵ月時と24ヵ月時でそれぞれ、 Dato-DXd群で58.8%、 29.0%、DTX群で52.8%、 21.7%だった。
Dato-DXd群で治療失敗後にDTXを使用した影響や、 両群においてあらゆる抗癌薬による後治療を行った影響を排除しても、 OSに有意な影響は認められなかった。
扁平上皮癌患者のOS中央値
HR 1.32 (95%CI 0.91-1.92)
OS率は12ヵ月時と24ヵ月時でそれぞれ、 Dato-DXd群で40.6%、 14.8%、DTX群で35.8%、 13.7%だった。
治療期間中央値はDato-DXd群が4.2ヵ月、 DTX群が2.8ヵ月であり、 PFS中間解析時点から追跡期間が11ヵ月延長された安全性評価の結果、 安全性プロファイルは既報と同様であり、 新たな遅発性毒性は認められなかった。
Grade3以上の治療関連有害事象 (AE) は、 DTX群(42%)と比較し、 Dato-DXd群 (26%) で少なかった。
減量または投与中止に至った治療関連AEは、 DTX群 (30%/12%) と比較し、 Dato-DXd群 (20%/8%) で少なかった。 新たな薬剤関連間質性肺疾患の報告はみられなかった。
Sands氏らは 「Dato-DXd群はDTX群と比較してOSの改善傾向が示されたものの、 両群に有意差は認められなかった。 ただしOSサブ解析における非扁平上皮癌のサブグループでは、 Dato-DXd群はDTX群と比較して良好な成績だった。 また、 新たな安全性シグナルは、既報に引き続き検出されなかった。 以前のPFS解析結果と併せ、 TROPION-Lung01試験の結果は、 Dato-DXdが前治療歴のある非扁平上皮NSCLCに対する新たな治療選択肢となりうる可能性を支持するものである」 と報告した。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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