海外ジャーナルクラブ
3日前

帝京大学臨床研究センター教授・センター長 / 東京名誉教授の大須賀穣氏らの研究グループは、 過多月経を伴う子宮筋腫の日本人女性を対象に、ゴナドトロピン放出ホルモン (GnRH) アゴニストのリュープロレリンに対する経口GnRHアンタゴニストのリンザゴリクス (商品名イセルティ) の非劣性を評価する無作為化比較試験を実施した。 その結果、 主要評価項目である6~12週のPictorial Blood Loss Assessment Chart (PBAC) 総スコア<10の達成率の群間差は-0.9%㌽で非劣性の基準を満たし、 リュープロレリンに対するリンザゴリクスの非劣性が示された。 一方、 有害事象の発現率については両群で同程度であった。 試験結果はHum Reprod誌に発表された。
子宮筋腫のタイプ、 子宮内膜症や子宮腺筋症の合併など多様な患者が含まれていましたが、 FIGO分類などによる詳細な子宮筋腫の表現型が治療効果に及ぼす影響は評価されていないのはlimitationです。
レルゴリクス配合剤、 子宮筋腫の国内P3試験で主要評価項目を達成
GnRHアゴニストは子宮筋腫の症状管理に広く用いられているが、 骨密度 (BMD) 低下や治療初期の症状増悪 (フレアアップ)、 投与終了後の下垂体機能回復の遅延と関連することが示されている。 GnRHアンタゴニストであるリンザゴリクスはこうした限界を克服できる可能性が期待されるものの、 有効性と安全性がGnRHアゴニストと直接比較されたことはなかった。
本試験は2022年10月~2024年8月に日本で実施された、 多施設共同・二重盲検並行群間比較・第Ⅲ相実薬対照非劣性試験である。 対象は、 子宮筋腫と過多月経を有する20歳以上の閉経前女性で、 疼痛症状の有無で層別化し、 双方向応答システムを用いて計287例が以下の2群に1:1で無作為化された。
投与期間は24週間で、 主要評価項目は投与6~12週におけるPBAC総スコア<10の達成割合*とした。 また、 疼痛 (数値評価スケールを使用)、 血中ヘモグロビン値、 経腟超音波による筋腫体積および子宮体積、 患者報告に基づく症状の重症度とQOL、 血漿エストラジオール、 有害事象、 BMDも評価した。 さらに、 治療終了後は最長24週の追跡期間における血漿エストラジオール、 BMD、 月経の回復を評価した。
主要評価項目である6~12週のPBAC総スコア<10の達成率は、 リンザゴリクス群で89.9% (95%CI 83.7-94.4)、 リュープロレリン群で90.8% (95%CI 84.7-95.0) であり、 群間差は -0.9%㌽ (95%CI -8.6~6.9) でリュープロレリンに対するリンザゴリクスの非劣性が示された。 PBAC総スコア<10の達成までの期間の中央値はそれぞれ6.0日 vs 20.0日 (p=0.023) で、 リュープロレリン群と比べてリンザゴリクス群で有意に短かった。
疼痛、 ヘモグロビン値、 筋腫 / 子宮体積、 患者報告アウトカムは24週を通じて両群で同程度の改善が認められたが、 疼痛の改善および筋腫/子宮体積の減少はリンザゴリクス群でより早期から認められた。 血漿中の平均エストラジオール値はリンザゴリクス群で2週までに20pg/mL未満に低下し、 リュープロレリン群でみられたフレアアップを伴わず24週まで低下が維持された。 治療終了後はエストラジオール値、 ほてり、 骨密度、 月経がリンザゴリクス群でより早く回復する傾向が認められた。
有害事象の発現率はリンザゴリクス群で97.2%、 リュープロレリン群で96.5%で同程度であった。 最も多い有害事象はリンザゴリクス群ではほてり (53.8%)であった一方、 リュープロレリン群では破綻出血 (55.6%) であり、 いずれも投与開始後28日以内の発現が最も多かった。
研究グループは 「本試験では主要評価項目を達成し、 症候性子宮筋腫を有する日本人女性におけるリンザゴリクスの24週間の有効性、 安全性、 および薬力学的作用を示した。 リンザゴリクスは24週間の治療期間を通じてリュープロレリンと同程度の有効性を示した一方、 より早期に効果の発現が認められたことから、 有用な治療選択肢となる可能性があると考えられる」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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