【専門医寄稿】IASCL 2023 肺癌の領域別トレンド解説
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HOKUTO編集部

1年前

【専門医寄稿】IASCL 2023 肺癌の領域別トレンド解説

【専門医寄稿】IASCL 2023 肺癌の領域別トレンド解説
今回は、 2023年9月に開催された「世界肺癌学会 (IASCL 2023) 」の注目演題を赤松弘朗先生に領域別に取り上げていただきました。

はじめに

まず雑感ですが、 開会前はFLAURA2試験に興味が集中していたものの、 フタを開けてみると実臨床に活かせるデータが多く出そろった学会となりました。 特に中皮腫に対する外科切除の有用性を検討した試験はプレゼンも含めて感銘を受けました。 今回は各領域別トピックと、 特に現在潮流である抗体薬物複合体 (ADC) についてご紹介します。

肺癌周術期

AEGEAN試験におけるEGFR遺伝子変異陽性例のサブセット解析。 EGFR遺伝子変異陽性例の周術期ICI使用に関して初めて生存曲線が示されましたが、 進行期同様ICI上乗せの意義は乏しいという結果でした。

AEGEAN:周術期のデュルバルマブ追加で手術に悪影響なし

進行期非小細胞肺癌 (NSCLC)

遺伝子変異陽性

事前のプレスリリースで非常に注目されたFLAURA2。 無増悪生存期間 (PFS) 中央値は10ヵ月程度延長していましたが全生存期間 (OS) が重なる結果となり、 ディスカッサントも現状では全例で標準的に用いるレジメンではないという見解になりました。

FLAURA2:未治療EGFR陽性肺癌へのオシメルチニブ+chemoでPFS有意に改善

遺伝子変異陰性

CheckMate-227試験の長期フォローアップでは、 PD-L1陰性例に対する6年OS率が16%と良好な結果が示されました。 最近論文化されたJCOG試験における9LAレジメンの死亡例検討も含め、 PD-L1陰性に対する治療選択は悩ましい状況が続きます。

CheckMate 227:NIVO+IPIが未治療NSCLCで6年長期成績でもOS改善

小細胞肺癌 (SCLC)

中国の第Ⅲ相試験で化学療法+IOに血管新生阻害剤の併用がPFS、 OSともpositiveな結果に。 現在国際共同治験としてベバシズマブ併用の第III相試験も進行中であり、 今後の発展に期待したいです。

ETER701:benmelstobart+anlotinib+ECで未治療ES-SCLCのPFS・OSが最長に

中皮腫

中皮腫に対しては胸膜切除/剝皮術の追加はOSをむしろ下げるという英国からの第Ⅲ相試験が報告されました。 ディスカッサントは非常に懐疑的な意見でしたが、 果たして本邦ではどう捉えられるのか。 

 中皮腫に対する胸膜切除/剝皮術の追加でOS不良に:第Ⅲ相MARS 2 

(Abstract#PL03.10)

抗体薬物複合体 (ADC)

HER3 ADC

EGFR遺伝子変異陽性NSCLCに対するオシメルチニブ後のpatritumab deruxtecan (ORR 30%、 mPFS 5.5ヵ月)

EGFR陽性NSCLCの3次治療における抗HER3 ADCが好成績:第Ⅱ相HERTHENA-Lung01

(Abstract#OA05.03)

抗TROP2 ADC

NSCLC初回治療 (抗TROP2 ADCであるdatopotamab deruxtecan+プラチナ製剤+デュルバルマブ:ORR 77%、 mPFS 未到達)

抗TROP2 ADC+デュルバルマブ±カルボプラチンが未治療NSCLCで奏効:第1b相TROPION-Lung04 

(Abstract#OA05.06)

抗B7-H3 ADC

SCLCに対するifinatamab deruxtecan (ORR 52%、 mPFS 5.6ヵ月)

難治SCLCへのifinatamab deruxtecanの抗腫瘍効果を確認

(Abstract#OA05.05)

症例数がそれほど多くないものも多く、 良好なORRに期待が持たれる一方で、 肺障害をはじめとするAEの頻度もそれなりに高く、 非常に有望とはまだ断言しにくいようには感じました。

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こちらの記事の監修医師
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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