【臨床Q&A】EGFR遺伝子変異G719A陽性の肺腺癌stage IVの治療選択肢は?
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HOKUTO編集部

5ヶ月前

【臨床Q&A】EGFR遺伝子変異G719A陽性の肺腺癌stage IVの治療選択肢は?

【臨床Q&A】EGFR遺伝子変異G719A陽性の肺腺癌stage IVの治療選択肢は?

解説:赤松弘朗先生¹⁾ / 監修:津谷康大先生²⁾

1) 和歌山県立医科大学附属病院腫瘍センター 准教授
2) 近畿大学医学部外科学教室呼吸器外科部門 主任教授

今週のQ&A (肺癌)

EGFR遺伝子変異G719A陽性の肺腺癌stage IV (73歳、 PS1)の患者さん、 どの治療を選択しますか?

  1. プラチナ製剤+ペメトレキセド
  2. アファチニブ
  3. オシメルチニブ

内科医はこう考える

【臨床Q&A】EGFR遺伝子変異G719A陽性の肺腺癌stage IVの治療選択肢は?

EGFR遺伝子変異の中でもG719Xに代表されるUncommon変異は従来の第Ⅲ相試験から除外されているか、 含まれても少数であった。 また、 Common変異に比較して、 EGFR-TKIの有効性がやや劣る可能性が指摘されていた。

欧州臨床腫瘍学会(ESMO 2023)において、 アファチニブとプラチナ+ペメトレキセドを比較した第Ⅲ相試験 (ACHILESS) が日本から報告され、 アファチニブ群における無増悪生存期間 (PFS) の優越性が示された (中央値10.6 vs 5.7ヵ月) ¹⁾。 全奏効率 (ORR) は有意差はないものの、 アファチニブ群で高かった (61 vs 47%)。

Common変異で標準的に用いられるオシメルチニブは、 韓国から前向き研究の結果が報告されており、 ORR 50%・無増悪生存期間中央値 (mPFS) 8.2ヵ月であった。 37例と少数の単群第II相試験ではあるが、 アファチニブより毒性が軽く治療選択肢にはなると考える²⁾。

以上より、 2 (症例によって3)

外科医はこう考える

【臨床Q&A】EGFR遺伝子変異G719A陽性の肺腺癌stage IVの治療選択肢は?

Uncommon mutationに対する化学療法、 EGFR-TKIの効果に関するデータは少なく、 これまでは化学療法が標準治療とされていたが、 ACHILESS試験において、 アファチニブはPFSにおいてプラチナ+ペメトレキセドよりも優れていることが報告された。

オシメルチニブにおいても、 先述の報告に加え、 単群第II相試験においてmPFS 10.5ヵ月という報告³⁾もあり、 G719Xなどのsensitizing uncommon mutationには一定の効果が期待される。

以上から、 エビデンスとしては2が優先、 3も考慮されると考える。

参考文献

  1. Treatment Rationale and Design of a Phase III Study of Afatinib or Chemotherapy in Patients with Non-small-cell Lung Cancer Harboring Sensitizing Uncommon Epidermal Growth Factor Receptor Mutations (ACHILLES/TORG1834). Clin Lung Cancer. 2020 Nov;21(6):e592-e596. PMID: 32611505
  2. Osimertinib for Patients With Non-Small-Cell Lung Cancer Harboring Uncommon EGFR Mutations: A Multicenter, Open-Label, Phase II Trial (KCSG-LU15-09). J Clin Oncol. 2020 Feb. PMID: 31825714
  3. A single-arm, multicenter, phase II trial of osimertinib in patients with epidermal growth factor receptor exon 18 G719X, exon 20 S768I, or exon 21 L861Q mutations. ESMO Open. 2023 Apr;8(2):101183. PMID: 36905787

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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