激変する外来診療、 対応しなければ食べていけない
著者

寄稿ライター

3日前

激変する外来診療、 対応しなければ食べていけない

激変する外来診療、 対応しなければ食べていけない
こんにちは、 Dr.Genjohです。 新シリーズ 「検証 +3.09%の真実」 第5回は、 外来診療の未来について考えていきましょう。 診療所に関わる内容が主ですが、 病院にとって無視できない項目も含まれています。 

>>第4回はコチラ

特定機能病院の外来機能は、 症例の選別が必須に

※画像はいずれもタップ、 ピンチアウトで拡大できます。
激変する外来診療、 対応しなければ食べていけない
【図1】厚労省の診療報酬改定資料より引用

今回の改定では、 外来機能の分化がさらに推進されます。

特定機能病院などの大病院では、 紹介患者を地域へ戻さず抱え込むと逆紹介率が低下し、 外来診療の評価が下がる仕組みがあります。 今回、 この逆紹介率の基準がさらに厳格化され、 外来患者を紹介元へ戻す流れが強まりました。 【図1】*¹⁾

特に、 毎月受診する慢性疾患患者を大病院で継続診療すると不利になるため、 病状的に必要な場合を除き、 地域医療機関への紹介がさらに進むと考えられます。 それを後押しすべく、 小病院や診療所にも、 大病院からの患者受け入れへのインセンティブが設けられました。

「外来診療は地域医療機関へ、 大病院は高度医療に」 という国の方向性が示されたといえます。

生活習慣病管理料の変更ポイント

激変する外来診療、 対応しなければ食べていけない
【図2】厚労省の診療報酬改定資料より引用

生活習慣病管理料は、 内科外来診療の根幹となる重要な加算です。 今回の改定では、 糖尿病患者を眼科・歯科へ紹介した際の新たな加算が設けられました【図2】

これまで、 自己注射製剤を使用する糖尿病患者では、 在宅自己注射指導管理料しか算定できず、 生活習慣病管理料を併算定できない問題がありました。 今回の見直しで両方の算定が可能となり、 糖尿病診療には追い風の改定といえます。

激変する外来診療、 対応しなければ食べていけない
※写真はイメージです

ただし、 インスリンやGLP-1受容体作動薬など、 糖尿病治療そのものに用いる自己注射製剤は従来通り併算定不可です。

一方、 生活習慣病管理料Iでは、 6ヵ月に1回の採血検査が必須化されました。 包括評価である以上、 検査を行うほど医療機関の負担が増えるため、 「採血をしないほうが得」 という歪みが存在していました。 高血圧、 糖尿病、 脂質異常症で半年間採血なしは適切とは言い難く、 今回の見直し自体は妥当でしょう。

とはいえ、 今後求められる検査水準がさらに上がれば、 医療機関の負担増につながる可能性もあり、 引き続き注意が必要です。

外来にも競争論理の導入、 先行者有利の原則

激変する外来診療、 対応しなければ食べていけない
【図3】厚労省の診療報酬改定資料より引用

また、 旧来の外来データ提出加算は 「充実管理加算」 へ名称変更され、 報告項目も簡素化されました。 その代わり、 点数は従来の一律50点から、 30点・20点・10点の3段階評価へ変更されています。 【図3】

具体的には、 TG、 T-chol、 HbA1cなどの定期測定状況や、 治療中断患者の割合などをもとに、 生活習慣病管理の優秀度ランキングが作成されます。 そして、 上位20%は30点、 上位50%は20点、 それ以外は10点といったように、 「どれだけ適切に患者管理できているか」 が評価される仕組みです。

激変する外来診療、 対応しなければ食べていけない
※写真はイメージです

入院基本料でも、 救急受け入れ件数や全身麻酔件数などで競争原理がすでに導入されていますが、 今回の改定で、 外来にも同様の相対評価が持ち込まれるようになりました。

なお、 2026年3月31日までにデータ提出を行った医療機関には、 当面の間一律30点が付与されます。 早期から厚労省の施策に対応した者を優遇する設計といえるでしょう。

特定疾病療養管理料の整理

激変する外来診療、 対応しなければ食べていけない
【図4】厚労省の診療報酬改定資料より引用

外来診療の加算において、 生活習慣病管理料と双璧をなす存在が 「特定疾病管理料」 です。

この管理料の対象疾患には、 胃潰瘍・十二指腸潰瘍が含まれています。 【図4】従来はこれらの病名に対し消化管保護薬を投与した場合、 この加算を算定できました。

しかし今回の改定により、 NSAIDs投与に伴う予防的な消化管保護薬処方に対して、 胃潰瘍病名を付けて特定疾患療養管理料を算定する運用はできなくなります。 保険病名をつけて特定疾病管理料を算定する方法は、 今後も難しくなっていくでしょう。

お役目を果たさない診療所は取り潰し!

激変する外来診療、 対応しなければ食べていけない
【図5】厚労省の診療報酬改定資料より引用

外来医師過多区域では、 診療所が都道府県知事の要請による労務に応じない場合には、 複数の加算を得られなくなります。 【図5】経営への影響は大きく、 実質的には半ば強制的な労務負担になりかねません。

以前は 「クリニック過密地域に新規開業する医療機関への抑制策」 として語られていましたが、 医療法や健康保険法の条文には、 そうした記載は見当たりません。

最終的な対象者の判断は都道府県知事に委ねられているものの、 場合によっては、 既存クリニックにも同様の協力要請が及ぶ可能性があります。

電子媒体による情報共有は今後必須化

激変する外来診療、 対応しなければ食べていけない
【図6】厚労省の診療報酬改定資料より引用

今回の改定では、 「電子的診療情報連携体制整備加算」 が新設されます。 【図6】

オンライン資格確認等システムやマイナ保険証利用率などを駆使することで、 院内での診療情報を地域で共有しながら、 「地域で患者を診る体制」 への積極的な参画が求められる内容です。

一方で、 紙カルテや院内処方、 紙処方箋、 診療情報共有サービスへの未参加といった従来型の運用を続ける医療機関は、 次第に立場が厳しくなっていく可能性があります。

出典

¹⁾厚生労働省 : 令和8年度診療報酬改定説明資料等について 「0_令和8年度診療報酬改定の概要【医科全体版】」

プロフィール

激変する外来診療、 対応しなければ食べていけない

Xアカウント : @DrGenjoh

「2026年度 報酬改定」 シリーズ

  1. 診療報酬改定+3.09%!そこに潜む落とし穴
  2. これからの病院のありかた——急性期病院と地域包括病院
  3. 勤務医の 「椅子取りゲーム」 加速…人気の無い箇所ほど報われる
  4. 進む働き方改革、 最終目標は医療全体の人員削減

「医師の黄昏」 シリーズ

  1. 医師は悪者?財務省の思惑
  2. 「医療費いじめ」 に正義はあるのか
  3. 薬価改定、 僕には関係ありません。 本当ですか?
  4. 目指すのは 「医者いらず」 ?政府の狙いを読み解く
  5. 同じ治療の報酬、 僕は1万円。 君は9000円。
  6. 「歪み」 が許容された時代の終焉。 出る杭は打たれる
  7. この診療所、 あの病院、 みんな仲良く生き延びられる…?
  8. 不公平な医療費は許さない!都道府県に課される責任
  9. 高額療養費クライシス!消滅の未来も?
  10. 【前編】広がる世代間格差、 その実情は?
  11. 【後編】広がる世代間格差、 その実情は?
  12. 医師の未来は常闇?暁天?

「続・医師の黄昏」 シリーズ

  1. 日本経済の停滞の原因は医療・介護にあるのか
  2. 診療所は本当に儲けすぎなのか
  3. 医師も戦々恐々?政府による金融所得の把握がいよいよ本格化

激変する外来診療、 対応しなければ食べていけない

ポストのGif画像
激変する外来診療、 対応しなければ食べていけないの全コンテンツは、医師会員限定でアプリからご利用いただけます*。
*一部のコンテンツは非医師会員もご利用いただけます
臨床支援アプリHOKUTOをダウンロードしてご覧ください。
こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

監修・協力医一覧
QRコードから
アプリを
ダウンロード!
激変する外来診療、 対応しなければ食べていけない