本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.
医量計算ツール 「抗がん剤の血管外漏出リスク」 が更新されました. 計算ツールなら、抗がん剤一般名かな順で、該当薬剤の分類を素早く確認できます。
抗がん剤漏出時の初期対応
- 直ちに注入を中止.
- 留置針はすぐに抜かず、 漏出薬剤を確認.
- 浸潤している薬剤を回収するため、 シリンジで約3~5mLの血液を吸引除去.
- 留置針、ルート抜去、漏出部位をマーキング.
- 患肢を拳上安静.
- 主治医に連絡.
- 組織障害の強さに応じた対応後のみ、 針を抜くことができる
- Vesicant drug、 Irritant drugは必ず、 その他の薬剤においても漏出の量が多く、 腫脹、 疼痛が著明である場合は皮膚科医に診察を依頼する.
- 夜間や休日の場合、 デルモベート軟膏の外用塗布を開始や患者の希望に合わせ適宜局所冷却を検討する. また、 担当医が必要と判断した場合は、 ステロイド局所注射を施行.
組織障害の強さによる薬剤分類
Vesicant drug (壊死起因性抗がん剤)
- 少量の漏出でも強い痛みが生じ、水疱や潰瘍、組織障害や壊死を生じる可能性がある.
Irritant drug (炎症性抗がん剤)
- 注射部位やその周囲、 血管に沿って痛みや炎症・潰瘍が生じる可能性がある.
Non vesicant drug (非壊死性抗がん剤)
- 漏れ出た場合に、 組織が障害を受けたり破壊されたりする可能性は非常に低い.
各薬剤の分類
血管外漏出の予防
- 血管確保については部位を充分考慮する (手首の血管は神経損傷等の危険を伴うので、原則選択しない).
- 留置針の固定を確実に行う.
- 留置針刺入部の観察を適切に行う.
- 患者に血管外漏出の可能性について事前に説明し、 患者からの刺入部に関する訴えをよく聴く.
- 皮膚障害を起こしやすい薬剤投与時の輸液ポンプ使用は、 慎重に検討する.
- 皮膚障害を起こしやすい薬剤投与中は、 漏出に特に注意する.
- 静脈ライン刺し換えの場合、 同側の静脈上流・末梢側には穿刺しない.
- 透析患者や循環障害・浮腫のある患者の下肢に血管確保を行った場合、 容易に水疱、 びらんを生じ皮膚潰瘍を形成しやすいことに留意する.
参考文献
監修医師:伊勢原協同病院血液内科 扇屋大輔