海外ジャーナルクラブ
1ヶ月前
Foxらは、 再発を伴わない二次性進行型多発性硬化症 (MS) 患者を対象に、 tolebrutinib*の有効性および安全性を第III相国際多施設共同二重盲検プラセボ対照event-driven無作為化比較試験HERCULESで検討した。 その結果、 tolebrutinibはプラセボと比べて障害進行リスクを有意に抑制したことが示された。 試験結果はNEJM誌に発表された。
神経領域では非常に少ない、 ポジティブな研究成果を上げています。
MSの経過では神経障害が徐々に進行することがあり、 これを 「障害蓄積」 と呼ぶ。
再発を伴わない障害蓄積に対する疾患修飾療法の効果は、 現時点で限定的だが、 再発を伴わない二次性進行型MSに対する承認薬はない。
そこで、 上記に対するtolebrutinibの有効性および安全性を第III相event-driven試験HERCULESで検討した。
再発を伴わない二次性進行型MS患者1,131例が、 以下の2群に無作為化に割り付けられた。
主要評価項目は6ヵ月持続する障害進行であった。
追跡期間中央値は133週間であった。
主要評価項目である6ヵ月持続する障害進行が認められた患者の割合は、 tolebrutinib群が22.6%とプラセボ群の30.7%と比べて低かった (HR 0.69 [95%CI 0.55-0.88、 p=0.003])。
重篤な有害事象は、 tolebrutinib群の15.0%、 プラセボ群の10.4%に発現した。 tolebrutinib群の4.0%、 プラセボ群の1.6%で、 アラニンアミノトランスフェラーゼ (ALT) 値が正常上限の3倍超に上昇した。
著者らは 「再発を伴わない二次性進行型MSで、 tolebrutinibによりプラセボと比べて障害進行リスクが減少した」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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