根治的腎尿管全摘除術後の上部尿路癌患者において、 ゲムシタビンとプラチナ製剤の併用化学療法 (GC療法) の効果を、 術後補助化学療法を行わないサーベイランス群を対照に検証した第Ⅲ相比較試験POUTの結果より、 無病生存期間 (DFS) に対する有益性が示された。 原著論文 ▼解析結果
Adjuvant chemotherapy in upper tract urothelial carcinoma (the POUT trial): a phase 3, open-label, randomised controlled trial. Lancet. 2020 Apr 18;395(10232):1268-1277. PMID: 32145825
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POUT試験の概要 対象 根治的腎尿管全摘除術を受け、 pT2-pT4 N0-3 M0、 あるいはpTany N1-3 M0で、 手術から90日以内の上部尿路癌患者
方法 261例を以下の2群に1:1で割り付けた。
シスプラチン70mg/m²またはカルボプラチン (AUC 4.5または5) をday1、 ゲムシタビン1,000mg/m²をday1、 8に投与、 21日毎に4サイクル実施 術後補助化学療法なし 評価項目 主要評価項目:DFS 副次評価項目:無転移生存期間 (MFS) 、 全生存期間 (OS) 、 安全性、 Quality of Life (QOL)* *European Organisation for Research and Treatment of Cancer (EORTC) のQOL質問票 (QLQ-C30) およびEuroQol five dimensions five levels questionnaire (EQ-5D-5L) を使用し評価 POUT試験の結果 患者背景 シスプラチンを投与されたのが76例、 カルボプラチンを投与されたのが50例 年齢中央値は68.5歳。 GC群の75%が4サイクルの投与を完了した。 DFS中央値 (95%CI 13.6ヵ月-未到達) HR 0.45 (95%CI 0.30-0.68)、 p=0.0001 3年時のDFS率 (95%CI 61-78%) (95%CI 36-56%) MFS GC群で有意に長かった。
HR 0.48 (95%CI 0.31-0.74)、 p=0.0007 3年時のMFS率 (95%CI 60-79%) (95%CI 42-63%) OS 未報告
QOL サーベイランス群と比較し、 GC群では、 化学療法第3サイクルの前、 化学療法直後の質問票スコアが低かった。 全参加者の2年間のデータを踏まえて解析される予定である。 有害事象 (AE) 治療関連AE (グレード3以上) の発現率
GC群:シスプラチン、 カルボプラチンを投与された患者のそれぞれ44% サーベイランス群:4% p<0.0001 著者らの結論 根治的腎尿管全摘除術後の上部尿路癌患者において、 術後90日以内に開始したGC療法は、 DFSを有意に改善させることが示された。