海外ジャーナルクラブ
4ヶ月前
Qiuらは、 進行胃・食道胃接合部腺癌の患者を対象に、 1次治療としての化学療法へのtislelizumabの上乗せの有効性および安全性について第Ⅲ相二重盲検プラセボ対照無作為化比較試験 (RATIONALE-305) で検討した。 その結果、 tislelizumabの上乗せによって全生存期間 (OS) が有意に延長した。 本研究はBMJで発表された。
BMJでRCT、 やや珍しい感があります。 BMJはPeer reviewをクリックすると査読過程が全て公表されているのが特徴です。 査読者3名の名前もオープンになっており、 今回は日本人の先生のお名前も査読者にあります。
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進行胃・食道胃接合部腺癌に対する1次治療として、 「化学療法+tislelizumab」 の有効性および安全性について 「化学療法+プラセボ」 と比較検討することであった。
全身療法を受けていない、 18歳以上の局所進行切除不能または転移性のHER2陰性胃・食道胃接合部腺癌患者1,657例を対象とした。 なお、 PD-L1の発現の有無は問わなかった。
第Ⅲ相二重盲検プラセボ対照無作為化比較試験。 2018年12月13日~2023年2月28日に、 アジア、 欧州、 北米の医療機関146施設で実施した。
被験者を以下のいずれかの群に1 : 1で無作為に割り付け*、 病勢進行または許容できない毒性がみられるまで治療を継続した。
- Tislelizumab+化学療法群 : 501例
- プラセボ+化学療法群 : 496例
PD-L1 tumour area positivity (TAP) スコアが5%以上の患者ならびに無作為化された全患者を対象にOSを評価した。
また、 治験の治療を少なくとも1回受けた患者を対象に安全性も評価した。
PD-L1 TAPスコアが5%以上の患者集団
Tislelizumab+化学療法群では17.2ヵ月と、 プラセボ+化学療法群における12.6ヵ月に比べて有意に延長した。
無作為化した全患者集団
Tislelizumab+化学療法群では15.0ヵ月と、 プラセボ+化学療法群における12.9ヵ月に比べて有意に延長した。
治療に関連したグレード3以上の有害事象の発現率は、 tislelizumab+化学療法群では54% (268/498例)、 プラセボ+化学療法群では50% (246/494例) であった。
著者らは 「進行性または転移性の胃・食道胃接合部腺癌の1次治療としての化学療法へのtislelizumabの上乗せは、 PD-L1 TAPスコアが5%以上の患者および無作為化された全患者において、 プラセボ+化学療法よりOSを改善した」 と結論付けている。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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