HOKUTO編集部
9日前
全身性強皮症に伴う間質性肺疾患 (SSc-ILD) におけるJAK阻害薬ウパダシチニブ (UPA) の有効性および安全性を、 ミコフェノール酸モフェチル (MMF) を対照に検証した二重盲検無作為化比較試験の結果より、 UPA投与開始から2週で努力性肺活量 (FVC) の低下抑制効果が示された。 エジプト・Assuit universityのManal Hassanien氏が発表した。
全身性強皮症 (SSc) において間質性肺疾患 (ILD) は発症頻度が高い合併症であり、 SSc関連死亡の20~40%を占める。 治療の進歩にも関わらず、 SSc-ILDに有効な治療法のコンセンサスは得られておらず、 依然としてアンメットニーズが存在する。
対象は、 発症から3年以上経過し、 FVC<75%、 肺拡散能 (DLCO) <80%、 および高分解能CT (HRCT) で肺に少なくとも10%の線維化が認められたSSc患者だった。
57例を以下の2群に1 : 1で無作為に割り付けた。
主要評価項目は12週時点におけるFVCの50%改善割合だった。 副次評価項目はDLCOの変化、 HRCTパターンの変化などだった。
年齢中央値はUPA群が32.9歳、 MMF群が33.5歳、 女性はそれぞれ78.6%、 79.3%だった。 びまん皮膚硬化型SScは57.1%、 58.6%だった。
FVCが50%改善した患者割合 (UPA群/MMF群) は、 12週が70%/61%(p<0.001)、 24週が74%/66%(p<0.001)、 52週が71%/62%であり、 UPA群で有意に改善した。
ベースラインからのFVCの絶対変化量は、 それぞれ-30.7mL/-50.2mL、 -45.2mL/-63.1 mL、 -52.4mL/-73.3mLだった (年間差 20.9mL、 95%CI 4.9~79.0mL、 p=0.05)。 経時的評価ではUPAの効果は2週目から認められた。
また今回の試験で、 UPAは過去の報告と比較して呼吸機能障害 (予測FVCより5%以上低下) リスクを低下させる可能性が示唆された(HR 0.51 [95%CI 0.31-0.85])。
DLCOが50%改善した患者割合 (UPA群/MMF群) は、 12週が45%/35%(p<0.001)、 24週が51%/45%(p<0.001)、 52週が56%/47%であり、 %DLCOは、 52週時点でUPA群が24%、 MMF群が15%増加した。
同時点におけるベースラインからのDLCOの絶対変化量は、 それぞれ-62.7mL、 -93.3mLだった。
HRCT所見の改善が見られた患者割合は、 12週が19%/13%(p<0.001)、 24週が30%/22%(p<0.001)、 52週が37%/31%だった。
両群において有害事象の報告はなかった。
Hassanien氏は 「ウパダシチニブはSSc-ILDに対する治療選択肢の1つとなり得る」 と報告した。
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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