ウパダシチニブ、 SSc-ILDのFVC低下を抑制
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HOKUTO編集部

9日前

ウパダシチニブ、 SSc-ILDのFVC低下を抑制

ウパダシチニブ、 SSc-ILDのFVC低下を抑制
全身性強皮症に伴う間質性肺疾患 (SSc-ILD) におけるJAK阻害薬ウパダシチニブ (UPA) の有効性および安全性を、 ミコフェノール酸モフェチル (MMF) を対照に検証した二重盲検無作為化比較試験の結果より、 UPA投与開始から2週で努力性肺活量 (FVC) の低下抑制効果が示された。 エジプト・Assuit universityのManal Hassanien氏が発表した。

背景

SSc-ILDに有効な治療法は未確立

全身性強皮症 (SSc) において間質性肺疾患 (ILD) は発症頻度が高い合併症であり、 SSc関連死亡の20~40%を占める。 治療の進歩にも関わらず、 SSc-ILDに有効な治療法のコンセンサスは得られておらず、 依然としてアンメットニーズが存在する。

試験の概要

対象は発症から3年経過のSSc-ILD

対象は、 発症から3年以上経過し、 FVC<75%、 肺拡散能 (DLCO) <80%、 および高分解能CT (HRCT) で肺に少なくとも10%の線維化が認められたSSc患者だった。

UPAとMMFを比較評価

57例を以下の2群に1 : 1で無作為に割り付けた。

  • UPA群 : 28例
ウパダシチニブ15mgを1日1回経口投与
  • MMF群 : 29例
ミコフェノール酸モフェチル2,000mgを1日1回経口投与

主要評価は12週時FVCの50%改善割合

主要評価項目は12週時点におけるFVCの50%改善割合だった。 副次評価項目はDLCOの変化、 HRCTパターンの変化などだった。

試験の結果

びまん皮膚硬化型SScが約6割

年齢中央値はUPA群が32.9歳、 MMF群が33.5歳、 女性はそれぞれ78.6%、 79.3%だった。 びまん皮膚硬化型SScは57.1%、 58.6%だった。

2週目より持続的にFVC改善、 呼吸機能障害リスクを49%低減

FVCが50%改善した患者割合 (UPA群/MMF群) は、 12週が70%/61%(p<0.001)、 24週が74%/66%(p<0.001)、 52週が71%/62%であり、 UPA群で有意に改善した。

ベースラインからのFVCの絶対変化量は、 それぞれ-30.7mL/-50.2mL、 -45.2mL/-63.1 mL、 -52.4mL/-73.3mLだった (年間差 20.9mL、 95%CI 4.9~79.0mL、 p=0.05)。 経時的評価ではUPAの効果は2週目から認められた。

また今回の試験で、 UPAは過去の報告と比較して呼吸機能障害 (予測FVCより5%以上低下) リスクを低下させる可能性が示唆された(HR 0.51 [95%CI 0.31-0.85])。

%DLCOは52週時点で24%増加

DLCOが50%改善した患者割合 (UPA群/MMF群) は、 12週が45%/35%(p<0.001)、 24週が51%/45%(p<0.001)、 52週が56%/47%であり、 %DLCOは、 52週時点でUPA群が24%、 MMF群が15%増加した。

同時点におけるベースラインからのDLCOの絶対変化量は、 それぞれ-62.7mL、 -93.3mLだった。

HRCTは24週時点で3割が改善

HRCT所見の改善が見られた患者割合は、 12週が19%/13%(p<0.001)、 24週が30%/22%(p<0.001)、 52週が37%/31%だった。

有害事象の報告なし

両群において有害事象の報告はなかった。

結論

UPAはSSc-ILDの有望な治療選択肢

Hassanien氏は 「ウパダシチニブはSSc-ILDに対する治療選択肢の1つとなり得る」 と報告した。

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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