患者さんから怒りをぶつけられたときの具体的な対応法
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HOKUTO編集部

9ヶ月前

患者さんから怒りをぶつけられたときの具体的な対応法

患者さんから怒りをぶつけられたときの具体的な対応法
長らく4人の腫瘍内科医による共同企画としてお届けしてきた 「がん診療の羅針盤」 シリーズは、 2025年4月より新たに3人の先生方に参画いただき、 7人の新体制でスタートしました。 引き続き、 がん診療専門医でない方でもちょっとしたヒントが得られるようなエッセンスをお届けしていきます。 第24回は虎の門病院の山口雄先生から「怒る患者さんに、 どう対応しますか」 です! ぜひご一読ください。
患者さんから怒りをぶつけられたときの具体的な対応法

がん診療で 「怒り」 に直面したら?

😠 「なぜこんなことが起こったんですか ! 」 
😡 「もっと早く気づけなかったんですか ! ! 」 

がん診療では、 患者さんや家族から怒りをぶつけられることがあります。 特に容体が急変したときには、 上記のような言葉が飛んでくることは珍しくありません。

怒りに、 怒りで応じてしまうことも

そんな時、 我々はつい医学的な正当性を強調するか、 あるいは感情的に反論してしまいがちです。

特に、 自分なりに最善を尽くしてきたという自負があると、 相手の言葉が"ミスの指摘"や"非難"に聞こえ、 「こちらはできる限りのことを、 すべてやってきています」 と、 思わず怒りで応じてしまう。 その流れで、

👨‍⚕️ 「このまま状態が悪化すれば、 亡くなる可能性があります ! 」 

など、 最悪の事態を強い口調で伝えてしまうこともあります。

一度こじれた関係の修復は極めて困難

結果として、 患者側の怒りはさらに増幅してしまいます。 このようにして、 いったん医療者-患者間の関係がこじれてしまうと、 そこからの修復はぐっと難しくなります。

怒りの裏に潜む感情を理解する

「不安」 「悲しみ」 等が背景にあることも

心理学では怒りは二次感情と言われており、 患者側の怒りの裏には、 不安、 悲しみ、 無力感といった、 根深い感情が隠れていることがよくあります。

一方、 私たち医療者側も、

👨‍⚕️「訴訟になったらどうしよう」 
「自分の判断が間違っていたのでは」 
「悪くなる可能性はなるべく早く伝えなきゃ」 

といった不安を抱いています。

💬腫瘍内科医のTips

つまり、 怒りのぶつかり合いに見えて、 実は 「不安」 と 「不安」 の衝突なのかもしれません。 まずはそのことに気づくことが第一歩だと思います。

怒りの火を消すポイント

相手の感情に寄り添い、 共感を示す

怒りをぶつけられたとき、 すぐに説明や弁解を始めると、 火に油を注ぐことになりかねません。 まず沈黙を用いながら、 相手にしっかり話しきってもらうことが大切です。

そして事実を説明する前に、 感情に寄り添い、 以下のように共感を示します。

 👨‍⚕️「急な出来事で大変驚かれたと思います」 
 「そのように思われるのも当然です」 

そのうえで、 「できるだけのことをする」 姿勢を伝えましょう。

これは相手の安心感につながるだけでなく、 自分自身の怒りを落ち着かせる効果もあります。 いわば、 認知行動療法のように—— 「行動を変えることで、 感情を整える」 感覚です。

💬腫瘍内科医のTips

対立ではなく、 一緒に状況を乗り越えていく協同関係を築ければ理想的です。

感情に対する謝罪が有効なことも

また、 場合によっては謝罪も有効です。 怒っている相手に対して謝る=ミスを認めること、 と思われがちです。 しかし実際には 「感情に対する謝罪」 として、 ミスを認めるわけではなくても、 相手の苦しみに寄り添うことができます。

👨‍⚕️ 「不安な思いにさせてしまってすみません」 
 「そう思わせてしまったことは、 申し訳なく思います」 

このような言葉は、 つらさを感じさせてしまったことそのものへの共感表現です。 怒りを鎮め、 関係を修復するきっかけになることもあります。

日々の信頼構築も怒りの 「防波堤」 に

患者さんの怒りが爆発する場面の多くは、 信頼関係が十分でない医療者との間に生じます。 たった1つの出来事で、 それまでに築き上げてきた関係が壊れることは、 あまり多くありません。 だからこそ日頃から患者さんの不安や不満に耳を傾け、 診療のパートナーとして寄り添う姿勢を見せておくことが、 いざという時に自分を守ってくれる防波堤になるのだと思います。

最後に

怒りへの対応は、 「どうしようもないもの」 ではなく、 訓練によって少しずつ上達できる技術だと私は思っています。

……とは言いつつ、 私もいまだに心の中の"イラッ"が口をついて出てしまうことがあります。 そんな自分に反省しながら、 本記事を執筆しました。 読んでくださった皆さんにとって、 少しでも参考になれば幸いです。

解説医師

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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