海外ジャーナルクラブ
5ヶ月前
Inuiらは、 CBDCAを含む化学療法を受けている肺癌患者を対象に、 オランザピンを用いた制吐療法の有効性および安全性について、 第III相二重盲検プラセボ対照無作為化比較試験で検討した。 その結果、 オランザピンを追加しても完全奏効率の有意な増加とは関連しなかったが、 悪心に対する良好なコントロールが得られた。 本研究はJ Clin Oncolにおいて発表された。
後付けになりますが、 サンプルサイズの計算の際に10%以上の差を臨床的に有意な差としていたので、 結果としては "主要評価項目で有意差なし"となってしまいました。 サンプルサイズの計算は本当に難しいです。
カルボプラチン (CBDCA) を含む化学療法は、 悪心・嘔吐の副作用が頻繁に発生し、 患者のQOLを低下させることが知られている。
本研究ではオランザピン+NK受容体拮抗薬+5-HT3受容体拮抗薬+デキサメタゾンによる制吐療法における化学療法誘発性悪心・嘔吐の予防に関する有効性および安全性を評価した。
CBDCA (AUC≧5) を投与予定である化学療法未治療の肺癌患者 355例を以下の2群に1 : 1の割合で無作為に割り付けた。
オランザピン群 : 175例
プラセボ群 : 180例
主要評価項目は全期間 (0~120時間) における完全奏効 (CR) 率*、 副次評価項目は悪心を認めない患者の割合、 安全性とした。
有意な差はみられなかった。
- オランザピン群 : 86.9%
- プラセボ群 : 80.6%
オランザピン群で、 全期間/遅発期ともに悪心のない患者の割合は高かった。
- オランザピン群 : 88.6%
- プラセボ群 : 75.0%
- オランザピン群 : 89.7%
- プラセボ群 : 75.6%
オランザピン群の24.6% (43例)、 プラセボ群の22.9% (41例) に傾眠が認められた。 Grade3以上の有害事象は両群ともに認められなかった。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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