海外ジャーナルクラブ
7ヶ月前
Koskenvuoらは、 直腸癌患者における機械的腸管前処置 (MBP) と経口抗菌薬の併用 (MOABP) が直腸切除術後の合併症の発生に及ぼす影響について多施設共同二重盲検プラセボ対照無作為化比較試験で検討した。 その結果、 術後の合併症や手術部位感染 (SSI) の発生は、 MBPに比べMOABPの方が少なかった。 本研究は、 JAMA Surgery誌において発表された。
直腸手術に特化した大きな研究結果がなかったなか、 本研究で直腸手術における術前経口抗菌薬投与の術後合併症減少効果を明確に証明したと言えます。
【術後評価】Clavien-Dindo分類 (JCOG術後合併症規準)
MBPに経口抗菌薬を併用した腸管前処置であるMOABPが、 直腸切除術の合併症予防に及ぼす影響については議論の余地がある。 そこで、 MOABPが直腸切除術後の合併症およびSSIを減少させるかどうか、 MBPと比較検討した。
フィンランドの大学病院において待機的直腸切除術と一次吻合を行う18歳以上の直腸癌患者
多施設共同二重盲検プラセボ対照無作為化比較試験
被験者を以下の群に1 : 1の割合で無作為に割り付けた。
すべての治験薬を手術前日に内服したほか、 全被験者は手術30分前に抗菌薬の静脈内投与を受けた。
Comprehensive Complication Index (CCI) で評価した全累積術後合併症
術後30日間におけるSSIおよび縫合部離開
解析対象 : 565例
CCI中央値
p<0.001
OR 0.45 (95%CI 0.27-0.77)
OR 0.39 (95%CI 0.21-0.72)
著者らは 「MOABP群ではMBP群に比べ、 SSIや縫合部離開、 全術後合併症の発生率が低下した。 よって、 MOABPは待機的直腸切除術施行患者の標準治療として考慮されるべきである」 と報告としている。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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