海外ジャーナルクラブ
8日前
Ditzelらは、 高齢の癌患者を対象に、 スクリーニングツールGeriatric 8 (G-8) を用いてフレイルの有無を評価し、 健康関連QOL (HRQoL) の関連性を前向きコホート研究 (PROGNOSIS-G8) で検討した。 その結果、 フレイルと判定された患者はそうでない患者に比べ、 12ヵ月後まで一貫してHRQoLが低いことが明らかとなった。 本研究は、 Lancet Oncol誌にて発表された。
手術の影響が加味されていないのは、 大きなlimitationと言えます。
高齢の癌患者においてHRQoLは、 治療選択や生活の質に重要な影響を与える。 G-8はフレイルを有する個人の同定に用いられるが、 HRQoLとの関連についてはほとんど調査されていない。
本研究は、 G-8によって同定されたフレイルが、 短期および長期のHRQoLにどのように関連するかを評価する目的で行われた。
2020年6月1日~21年10月15日に固形癌の腫瘍学的評価を受けた70歳以上の患者1,398例を対象に、 G-8を用いたフレイルスクリーニングが実施された。
参加者はベースライン時、 3ヵ月後、 6ヵ月後、 9ヵ月後、 12ヵ月後にEORTC QLQ-C30、 QLQ-ELD14を用いて評価された。 患者の特性についての情報は、 医療記録から取得した。
主要評価項目は、 フレイル患者と非フレイル患者の間における、 12ヵ月間のGlobal health status/QOL (GHS) スコアの平均差とした。
1,398例の高齢癌患者にG-8を用いたスクリーニングが行われ、 65% (908例) がフレイル、 35% (490例) が非フレイルと判定された。 このうち51% (707例) より、 HRQoLのデータが得られた (フレイル : 62%、 非フレイル : 38%)。
GHSスコア
フレイル患者のGHSスコアは、 非フレイル患者と比較して常に不良であった。
EORTCサマリースコア
EORTCサマリースコアも、 フレイル患者は非フレイル患者に比べ有意に低かった。
著者らは 「高齢でフレイルがある癌患者は、 フレイルのない癌患者に比べ、 12ヵ月以内のHRQoLが有意に不良であることが確認された。 フレイルを早期に同定し治療することは、 高齢癌患者のHRQoL改善に寄与する可能性がある」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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