海外ジャーナルクラブ
12日前
東北大学大学院外科病態学講座 (乳腺・内分泌外科学分野) の多田寛氏らの研究グループは、 日本人の転移性再発乳癌 (mBC) を対象に、 PI3K/AKT/PTENを含むAKT経路の変異と臨床病理学的因子との関連について、 観察研究で評価した。 その結果、 AKT経路に変異を有する患者では年齢が高い、 腫瘍変異負荷 (TMB) が高い、 BRCA1/2発現が低いなどの特徴が示された。 本研究はBreast Cancerにて発表された。
Limitationである最後の一文、 「現実の世界における正確な予後研究が望まれ、 乳癌に特化した登録が確立されるべきである」 は印象に残ります。
本試験では、 日本人のmBCにおけるプロテインキナーゼBα (AKT1) -ホスファチジルイノシトール-4,5-ビスホスフェート3-キナーゼ触媒サブユニットα (PIK3CA) -ホスファターゼ・テンシンホモログ (PTEN) の変化と、 臨床病理学的因子との相関を明らかにすることを目的として、 国立がん研究センター・がんゲノム情報管理センター(C-CAT)のデータを用いて、癌遺伝子パネル検査を受けたルミナルタイプの転移性再発乳癌1,967例を分析した。
解析の結果、 PI3K/AKT/PTENを含むAKT経路の変異が1,038例 (52.8%) に認められた。
また、 AKT経路変異を有する患者は年齢が高く (p=0.002)、 浸潤性小葉癌 (ILC) の組織型、 プロゲステロン受容体 (PgR) 陽性、 骨転移の割合が高く (それぞれp=0.001、 p=0.006、 p=0.001)、 生殖細胞系BRCA2の割合が低い (p<0.001)という特徴が示された。
さらに、包括的癌ゲノムプロファイリング検査 (CGP) の結果、 AKT経路に変異を有する患者はTMBが高く (TMB-high)、 BRCA1/2の発現が低いことが示された (いずれも<0.001)。
著者らは 「本試験の結果は、 AKT経路を標的とした分子標的療法による最適な治療戦略を検討する上で極めて重要である」 と報告した。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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