海外ジャーナルクラブ
2年前
Yongらは、 移植適応のある新規診断の多発性骨髄腫 (MM) 患者を対象に、 カルフィルゾミブを用いた寛解導入療法+地固め療法+維持療法 (KCd群) が、 同じ寛解導入レジメン後に自家造血幹細胞移植 (HSCT) +維持療法を行った場合に比べ、 非劣勢かどうかを検討する目的で無作為化非盲検第Ⅱ相試験を実施 (CARDAMON試験)。 その結果、 KCd群はHSCTと比較して非劣性の基準を満たさなかった。 本研究は、 Lancet Haematol誌において発表された。
非劣性マージン10%と事前に設定して、 結果は-11.1%でありほんの僅かに超えていました。 ここはこの研究だけでは判断が難しいです。 今後は、 導入療法後にMRD陰性の患者などのサブグループにおいて更なる研究成果が重要となります。
新規に診断されたMM患者に対する標準治療は、 ボルテゾミブをベースとした導入療法、 高用量メルファラン、 HSCT、 レナリドミドによる維持療法である。
新規に診断された移植適応の多発性骨髄腫患者
(18歳以上、 🔢ECOG PS 0-2の患者)
KCd療法* (カルフィルゾミブ、 シクロホスファミド、 デキサメサゾン)を4サイクル投与後、 部分奏効が得られた患者を、 高用量メルファラン+HSCTまたはKCd地固め療法 (4サイクル) に1:1で無作為に割り付けた。
全患者は、カルフィルゾミブ維持療法*を受けた。
寛解導入療法後に少なくとも非常に良好な部分奏効を得た患者の割合と、 無作為化から2 年後の無増悪生存率 (PFS) の差 (非劣性マージン 10%)。
281名が登録され、 218名が無作為化に進んだ。
寛解導入療法後、 57.7% (281名中162名、 95%CI 51.6-63.5) で少なくとも非常に良好な部分奏効が得られた。
HSCT群75% (95%CI 65-82) に対し、 KCd群68% (95%CI 58-76) となり、 非劣性は示されなかった (差 -7.2%、 70%CI -11-2.8)。
KCd療法の導入療法・地固め療法で最も多かったグレード3・4の有害事象
カルフィルゾミブ維持療法における有害事象
治療に関連する重篤な有害事象は、 導入療法を開始した39%で報告され、 感染症 (29%) が最も多く見られた。
治療起因性の死亡は、 導入期に2% (感染症3名、 心イベント1名、 腎不全1名)、 HSCT後の維持期において99名中1名 (食道癌) で報告された。
KCdはHSCTと比較して非劣性の基準を満たさなかったが、 PFSのわずかな差は、 導入療法後にMRD陰性の患者など、 いくつかのサブグループにおいてHSCTを検討するためにさらなる研究が必要であることを示している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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