海外ジャーナルクラブ
1年前
Françoisらは、 敗血症性ショックの患者を対象に、 トリガー受容体1 (TREM-1) 阻害薬nangibotideの有効性と安全性、 および至適治療集団を二重盲検第Ⅱb相無作為化試験ASTONISHで検討。 その結果、 事前に定義された可溶性TREM-1 (sTREM-1) の値では臓器不全評価 (SOFA) スコアの改善という主要評価項目は達成されなかった。 本研究はLancet Respir Med誌において発表された。
SOFAスコアの差、 死亡率ともに治療効果の可能性を今回の研究では示せなかったというところで、 totalで考えて次作が難しい印象です。
TREM-1経路の活性化は、 敗血症性ショックの転帰と関連している。 TREM-1が活性化した患者において、 この経路を調節することで生存率が改善する可能性が示唆された。 sTREM-1は、 TREM-1モジュレーターであるnangibotideの臨床試験において、 機序に基づくバイオマーカーとして患者選択の幅を広げる可能性がある。
COVID-19以外で標準的な敗血症性ショックの定義を満たし、 感染症が証明または疑われ、 敗血症性ショック治療のためのバソプレッサー開始後24時間以内の患者
患者は以下の群に1:1:1で無作為に割り付け
低用量群および高用量群のベースラインから5日目までのSOFAスコアのプラセボとの平均差
28日時点の全死因死亡率、 安全性、 薬物動態、 TREM-1活性化と治療効果との関係の評価など
sTREM-1高値集団におけるSOFAスコアの差
sTREM-1高値集団 (355例中253例) におけるベースラインから5日目までのSOFAスコアの平均差は、 プラセボ群と低用量群の間で0.21 (95%CI -1.45-1-87、 P=0.80)、 プラセボ群と高用量群の間で1.39 (95%CI -0.28-3.06、 P=0.104) であった。
全体集団におけるSOFAスコアの差
全体集団におけるベースラインから5日目までのSOFAスコアの差は、 プラセボ群と低用量群の間で0.20 (95%CI -1.09-1.50、 P=0.76)、 プラセボ群と高用量群の間で1.06 (95%CI -0.23-2.35、 P=0.108) であった。
sTREM-1高値集団における28日時点の全死因死亡率
sTREM-1高値集団では、 プラセボ群で31% (23例)、 低用量群で39% (35例)、 高用量群で28% (25例) が28日目までに死亡した。
全集団における28日時点の全死因死亡率
全集団では、 プラセボ群で25% (29例)、 低用量群で32% (38例)、 高用量群で25% (30例) が28日目までに死亡した。
高用量のnangibotideは、 ベースライン時のsTREM-1高値 (532pg/mL以上) の患者において、 ベースラインから5日目までのSOFAスコアの臨床的に重要な改善 (2点以上) をもたらした。 低用量のnangibotideは、 すべてのカットオフ値において同様のパターンを示しが、 効果は小さかった。
治療上の有害事象
重篤な治療上の有害事象
事前に定義されたsTREM-1値でのSOFAスコアの改善という主要アウトカムは達成されなかった。 より高濃度のTREM-1活性化におけるnangibotideの有用性を確認するためには、 今後の研究が必要である。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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