【JAMA Oncol】抗うつ薬ミルタザピンでエネルギー摂取量が増加 : 進行NSCLC
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海外ジャーナルクラブ

8ヶ月前

【JAMA Oncol】抗うつ薬ミルタザピンでエネルギー摂取量が増加 : 進行NSCLC

【JAMA Oncol】抗うつ薬ミルタザピンでエネルギー摂取量が増加 : 進行NSCLC
Arrieta氏らは進行非小細胞肺癌 (NSCLC) 患者の食欲不振の改善およびエネルギー消費におけるノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬 (NaSSA) のミルタザピンの効果について、 二重盲検プラセボ対照無作為化比較試験を用いて検討した。 その結果、 ミルタザピン群は対照群に比べてエネルギー摂取量が有意に増加し、 サルコペニアを有する患者の割合が有意に減少した。 本研究は、 JAMA Oncol誌において発表された。

📘原著論文

Mirtazapine as Appetite Stimulant in Patients With Non–Small Cell Lung Cancer and Anorexia A Randomized Clinical Trial. JAMA Oncol. Published online 2024 January 11

👨‍⚕HOKUTO監修医コメント

食欲スコアには差がなく、 エネルギー摂取量、 特に脂肪の摂取量を有意に増加させたとのことです。 エネルギー摂取量の増加だけでなく、 QOLの改善が期待されます。

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Harris-Benedictの式 (BEE)

基礎エネルギー消費量の推算式

Harris Benedictの式 (TEE)

基礎エネルギー消費量BEEの推算式

研究の背景

癌に関連した食欲不振に対する標準療法は存在せず、 癌患者の生存に重要な影響を及ぼしている。

研究デザイン

対象

進行NSCLCの成人患者

介入

患者を1 : 1の割合で無作為に割り付けた。 両群とも栄養評価と食事のアドバイスを受けた。

  • ミルタザピン群 : 43例
ミルタザピン15mgを2週間投与後、 8週目までに30mgに増量
  • 対照群 : 43例

主要評価項目

Anorexia Cachexia Scaleおよびエネルギー (タンパク質/炭水化物/脂肪) 摂取量に基づく食欲スコア

副次評価項目

サルコペニアの発症割合、 忍容性

研究結果

主要評価項目

両群間で4週後および8週後の食欲スコアに差は認められなかった。

4週後、 ミルタザピン群はタンパク質、 炭水化物、 脂肪を含むエネルギー摂取量が有意に増加した。

  • エネルギー摂取量 : 379.3kcal (95%CI 382.6-576.1kcal)
p<0.001
  • タンパク質 : 22.5g (95%CI 11.5-33.4g)
p=0.001
  • 炭水化物 : 43.4g (95%CI 13.1-73.8g)
p=0.006
  • 脂肪 : 13.2g (95%CI 6.0-20.4g)
p=0.006

副次評価項目

サルコペニアの発症割合

  • ミルタザピン群 : 82.8%
  • 対照群 : 57.1%
p=0.03

忍容性

ミルタザピン群の治療に対する忍容性は良好であった。 投与2週後に10cmVASスコアに基づく悪夢の認知が高かったものの、 4週後および8週後においては有意差は認められなかった。

結論

進行NSCLC患者において、 ミルタザピンの投与は食欲スコアに差をもたらさなかったが、 4週間後のタンパク質、 炭水化物、 脂肪を含むエネルギー摂取量を有意に増加させた。 エネルギー摂取量、 特に脂肪の摂取量を有意に増加させた。 またミルタザピン群では、 8週後にサルコペニアを示す患者の割合が有意に減少した。

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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