【JAMA】トラネキサム酸で肝切除患者の周術期合併症が増加
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20日前

【JAMA】トラネキサム酸で肝切除患者の周術期合併症が増加

【JAMA】トラネキサム酸で肝切除患者の周術期合併症が増加
Karanicolasらは、 癌関連適応の肝切除を受ける患者を対象に、 肝切除後におけるトラネキサム酸投与が赤血球輸血に及ぼす影響について、 多施設共同プラセボ対照無作為化比較試験HeLiXで検討した。 その結果、 トラネキサム酸投与は出血や輸血を減少させず、 周術期合併症を増加することが明らかにされた。 本研究はJAMAにて発表された。 

📘原著論文

Tranexamic Acid in Patients Undergoing Liver Resection: The HeLiX Randomized Clinical Trial. JAMA. 2024 Aug 19:e2411783. Epub ahead of print. PMID: 39158894

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

トラネキサム酸研究において、 negativeな結果ということで逆に大きなインパクトを残した研究の位置付けです。 そもそも、 "初期投与量1g"にエビデンスはないと聞いています。

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背景・目的

肝切除患者へのトラネキサム酸の出血・輸血減少効果を検証

多くの外科手術において、 トラネキサム酸は出血および輸血を減少することが示されている。 しかし、 癌関連適応の肝切除を受ける患者に対する有効性は明らかにされていなかった。

 

本研究は、 トラネキサム酸投与が肝切除後7日以内の赤血球輸血を減少させるかどうかを明らかにすることを目的とした。

研究デザイン

術後7日以内の赤血球輸血を比較

癌関連適応で肝切除を受けるボランティア患者1,384例を以下の2群に無作為に割り付け、 90日間の追跡調査を行った。

  • トラネキサム酸群 : 619例
麻酔導入時にトラネキサム酸1gをボーラス投与後、 8時間にわたり1gを点滴投与
  • プラセボ群 : 626例

主な評価項目は、 術後7日以内の赤血球輸血の実施とした。 その他、 術中出血量、 推定総失血量、 合併症の発生、 静脈血栓塞栓症の発生などが評価された。

結果

赤血球輸血率は有意差なし、 出血量は同程度

主要解析はトラネキサム酸群619例、 プラセボ群626例が対象となり、 周術期の特徴は両群間で類似していた。

赤血球輸血の発生率は両群で有意差が見られなかった。 また、 術中出血量および7日間の推定総失血量は両群で同程度であった。

赤血球輸血率
  • トラネキサム酸群 : 16.3%
  • プラセボ群 : 14.5%
OR 1.15、 95%CI 0.84-1.56、 p=0.38
術中出血量
  • トラネキサム酸群 : 817.3mL
  • プラセボ群 : 836.7mL
p=0.75
7日間の推定総失血量
  • トラネキサム酸群 : 1504.0mL
  • プラセボ群 : 1551.2mL
p=0.38

周術期合併症はトラネキサム酸群で有意に多い

トラネキサム酸群はプラセボ群と比較して、 周術期合併症の発生率が有意に高かった。

OR 1.28、 95%CI 1.02-1.60、 p=0.03

結論

トラネキサム酸投与は慎重な検討が必要

著者らは 「癌関連適応の肝切除患者に対するトラネキサム酸の投与は、 出血や輸血を減少させず、 周術期合併症が増加した」 と報告した。


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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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