HOKUTO編集部
2年前
HOKUTOユーザーの医師51名に聞きました。
アンケート結果:ニボルマブ+イピリムマブ併用療法が最多で、 次点は5-FU+ネダプラチン (FN) 療法となりました。
国立がん研究センター 中央病院
頭頸部・食道内科
以前のQ&Aでもあったが、 現在の遠隔転移を有する切除不能な食道扁平上皮がんに対する初回治療は、 KEYNOTE-590試験¹⁾、 CheckMate 648試験²⁾の結果から、 シスプラチン+5-FU併用療法 (CF) にペムブロリズマブを追加する併用療法、 CF+ニボルマブ併用療法、 ニボルマブ+イピリムマブ併用療法がエビデンスレベルAで推奨されている³⁾。
しかし、 近年の高齢化に伴い併存疾患を有する症例が増えており、 特に腎機能低下や心機能低下、 全身状態(PS)低下などにより、 大量補液が必要なシスプラチンに不適な症例にしばしば遭遇する。
その場合の最適な治療に関しては確立しておらず、 シスプラチンを含まないニボルマブとイピリムマブ併用療法は選択肢の一つであるが、 CheckMate 648試験にはシスプラチンが投与可能な症例のみが登録されていたことに注意が必要である²⁾。
その他の選択肢として、 PRODIGE5/ACCORD17試験に基づき、 FOLFOX療法が挙げられる⁴⁾。 FOLFOX療法はシスプラチンでなく、 オキサリプラチンを用いることから大量補液が不要で、 中心静脈ポートを造設することで外来でも治療が可能である。 しかし、 有害事象として末梢神経障害があることから、 ADLを低下させないためにも、 外来での問診を通して適切なタイミングでの休薬や減量が必要である。
もう一つは5-FU+ネダプラチン併用(FN)療法が挙げられる⁵⁾。 シスプラチンでなくネダプラチンを用いる事から、 消化器毒性や腎障害の頻度が低く、 大量補液をこちらも必要としないことからシスプラチンが不適な症例においては選択肢となりうる。 ただし投与に際して入院が必要となり、 血液毒性の頻度がやや高くなることから、 その点に注意が必要である。
また食道がんにおいてはS-1療法も時に用いられるが、 基本的に各key drugに不応・不耐の状態で用いられる事が多く、 後方視的検討では奏効割合が22.2%、 無増悪生存期間は3.0カ月と報告されている⁶⁾。
このようにシスプラチンが不適な症例における最適な治療戦略は確立しておらず、 今後のさらなる検討が必要である。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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