HOKUTO編集部
1年前
再発難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫 (DLBCL) に対する新規治療法の開発は進んでいる。 しかし初回治療後の早期再発や原発性難治性例は極めて予後不良である。 既報ではこのような患者群の治療奏効率 (ORR) は30%前後、 全生存期間 (OS) 中央値は6.3ヵ月であった¹⁾。
近年、 CD19標的キメラ抗原受容体 (chimeric antigen receptor:CAR) T細胞療法が承認されていが、 生物工学の一貫性、 製造スケジュール、 CAR-T細胞療法へのアクセスが世界的に制限されている。 そのため、 有効性および安全性が高く、 Off-the-shelfの新規製剤の開発が望まれている。
epcoritamab (GEN3013) は、 CD3およびCD20を標的とする皮下投与の二重特異性抗体であり、 T細胞をリダイレクトおよび活性化してCD20発現悪性細胞を殺傷する²⁾³⁾。
2022年1月31日の時点で、 157例の患者がepcoritamabの治験治療を受けた。
患者背景
原発性難治性疾患の患者 (n=96)
CAR-T細胞療法の治療歴がある患者 (n=61)
CAR-T細胞療法治療歴のない患者 (n=96)
微小残存腫瘍 (MRD)
微小残存腫瘍 (minimal residual disease:MRD)は、 ClonoSEQ MRD assay (Adaptive Biotechnologies、 Seattle、 WA)によって評価された。
興味深いことに、 107例のMRD評価可能患者のうち、 49例 (45.8%) はMRD陰性 (95%CI 36.1~55.7) で、 これらの患者の78.7%は6ヵ月時点でMRD陰性を維持した。 MRD陰性を達成した患者はMRD陽性患者に比べて無増悪生存期間 (PFS) が長かった。
治療中に発現した最も一般的な有害事象は、 サイトカイン放出症候群(49.7%:Gr1またはGr2 47.1%:Gr3: 2.5%)、 発熱 (23.6%) および疲労 (22.9%) であった。 免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群は6.4%で認めた。
本邦において2023年9月にGenmab社が本製剤について製造販売承認を取得した。 再発難治性DLBCLの有益な治療選択肢となり得る。 実臨床では、 サイトカイン放出症候群、 免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群のマネジメントが重要となってくる。 こちらについては別項にて解説する。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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