海外ジャーナルクラブ
4ヶ月前
Falcaroらは、 英国のヒトパピローマウイルス (HPV) ワクチン接種プログラムが子宮頸癌およびグレード3の子宮頸部上皮内腫瘍 (CIN3) の発生率に及ぼす影響に検討した観察研究で、 12ヵ月の追加のデータを加えて解析を行った。 その結果、 同プログラムの高い効果があらためて確認された。 本研究はBMJにて発表された。
本研究で子宮癌予防の有効性はよく証明されていますので、 合併症(安全性)も評価されているとさらに質の高い研究となります。
タイトルに"Effectiveness"ではなく弱い"Effect"を使用しているのが少し気になります。
本研究の目的は、 英国のHPVワクチン接種プログラムが子宮頸癌とCIN3の発生率に及ぼす影響についての以前の解析に、 12ヵ月の追加の追跡調査のデータを加えて解析を行い、 社会経済的困窮レベル別の有効性を調査することであった。
2006年1月~2020年6月に英国に居住していた20~64歳の女性を対象にした観察研究である。
主要評価項目は、 子宮頸癌発症率およびCIN3発生率とした。
2006年1月1日~2020年6月30日に、 2万9,968人が子宮頸癌、 33万5,228人がCIN3の診断を受けた。
12~13歳で定期接種を受けた女性の出生コホートにおける子宮頸癌の発症率は、 未接種の参照コホートより83.9% (95%CI 63.8-92.8%) 低かった。
12~13歳で定期接種を受けた女性の出生コホートにおけるCIN3の発生率は、 未接種の参照コホートより94.3% (95%CI 92.6-95.7%) 低かった。
ワクチンによる子宮頸癌の予防
2020年半ばまでに、 HPVワクチン接種は子宮頸癌を687件 (95%CI 556-819件)、 CIN3を2万3,192件 (95%CI 22,163-24,220件) 予防したと推定された。
居住地の困窮レベルと接種率・効果の関係
経済的に最も困窮している地域に住む女性の接種率が依然として最も高かったが、 5段階の困窮レベルの全てで大きな効果が得られた。
CIN3発生率と居住地の関係
キャッチアップ接種を受けた女性におけるCIN3の発生率は、 困窮レベルが最も低い地域の女性では最も困窮している地域の女性より大幅に低下した。
ワクチン接種の有無と子宮頸癌発症率・困窮レベルの関係
ワクチン未接種群の子宮頸癌発症率は、 高い困窮レベルから低い困窮レベルへの強い下降勾配がみられたが、 ワクチン接種群ではみられなかった。
著者らは 「英国でのHPVワクチン接種プログラムは、 追加の12ヵ月の追跡調査でも継続して高い有効性を示した。 HPVワクチン接種は、 特に定期接種を受けた女性において、 全ての困窮レベルにわたって子宮頸癌発生率およびCIN3発生率の大幅な低下と関連していた」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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