【専門医寄稿】潜在性結核のマネジメント (各ガイドラインの推奨比較)
著者

HOKUTO編集部

3ヶ月前

【専門医寄稿】潜在性結核のマネジメント (各ガイドラインの推奨比較)

【専門医寄稿】潜在性結核のマネジメント (各ガイドラインの推奨比較)

ポイント

  • 2類感染症!診断後すぐに保健所に届ける!
  • 標準治療が短期間で変わりうるため注意!

病態と定義

Mycobacterium tuberculosis complexによる感染症をさす (M.bovis BCGは除く). 活動性結核の諸症状 (咳、 体重減少、 倦怠感、 発熱、 盗汗、 血痰) を欠き周囲への感染性がないが、 結核には感染している状態をいう.

→略称 LTBI (latent tuberculosis infection)

どのような時に疑うか

結核リスクがある患者 (結核既往歴、 HIV、 糖尿病、 免疫抑制薬、 化学療法、 悪性腫瘍、 珪肺、 高蔓延国居住歴、 路上生活者、 IGRA陽性者、 医療従事者、 介護従事者など)

届出

LTBIと診断した場合、 改正感染症法第12条第1項による届出を直ちに行う

忘れると公費負担が受けられず、 トラブルになるので注意!

検査²⁾

【専門医寄稿】潜在性結核のマネジメント (各ガイドラインの推奨比較)

胸部レントゲン、 胸部単純CT

肺陰影がないことを確認する.

IGRA [T-SPOT/QuantiFERON(QFT)]

感度の高い検査だが、 陽性でも活動性結核か潜在性結核かは判定できない. 平日日中にしか提出できない場合が多く注意.

ツベルクリン反応

免疫不全者では偽陰性の可能性、 BCG接種の影響を除外できない.

治療例

以下のガイドラインを参照し、 相談の上レジメンを決定する.

以下の略号を使用する
💊イソニアジド(INH) →【H】
💊リファンピシン(RFP) →【R】
※INHはピリドキシン(VitB6)を併用する
※いずれも腎不全で用量調整不要

CDC¹⁾

  • 4R (毎日RFP内服を4ヶ月間)
  • 3HR (毎日RFP+INH内服を3ヶ月間)

WHO²⁾

  • 6H (毎日INH内服を6ヶ月間)
  • 9H (毎日INH内服を9ヶ月間)
  • 3~4R
  • 3~4HR

日本結核病学会予防委員会・治療委員会³⁾

  • 6Hまたは9H (第1選択)
  • 3~4HR (第2選択)
  • 4R (INHが使用できない場合)

その他

  • 治療中は薬物性肝障害の兆候を把握するため、 アルコール摂取など肝障害を来すような他の行動は慎むように指導する.
  • 基本的にフォローアップは不要だが、 大規模集団感染事例や免疫不全者など、 治療後の発病リスクが高い場合は半年ごとなどのフォローアップを検討する.
  • 活動性結核の兆候があれば直ちに受診するように指導する.

文献

  1. CDC, Treatment Regimens for Latent TB Infection (LTBI). https://www.cdc.gov/tb/topic/treatment/ltbi.htm (参照 2022-07-06)
  2. WHO, Guidelines on the management of latent tuberculosis infection. https://www.who.int/publications/i/item/9789241548908 (参照 2022-07-06)
  3. 日本結核・非結核性抗酸菌症学会, 潜在性結核感染症治療レジメンの見直し . 結核 2019, 94(10) : 515-518. https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/000814559.pdf (参照 2022-07-06)

こちらの記事の監修医師
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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